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この作品のレビュー
映画専門家レビュー
ユーザーレビュー
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ミャーノフ大佐
映画の作りとしては雑だな。演出も下手だし、設定も変だ。
この映画は2014年現在の若者達のちょっと危ない行動から導入してくる。主人公の女子大学生ソポンは、大学に通いながらも夜は不良の彼氏と遊び歩いている。父は自分の上司である将軍の息子とソポンを結婚させようとしている。母は病弱の身。弟だけが真面目な青年でソポンの行動を苦々しく見ている。ある日、昔映画館だった駐輪場にソポンが逃げ込んだ。そこのスクリーンにポル・ポト以前の映画が映し出される。移っている女優が自分の母と知る。映画館の館主は映画の最後の巻だけ紛失している、と言われ、大学の先生を巻き込んで自分で最後の巻を作ろうとする。ここまでの展開で演技のつたなさ、演出の下手さ、ストーリーの安易さに、カンボジアの映画はこんな物かと思った。
そしてポル・ポト(クメール・ルージュ)時代の話が少しずつ出てくる。父、母がクメール・ルージュを経験した時代が40年前。息子や娘は20歳前後だろう。とすると年代、合わないんじゃない?
さて、ポル・ポト時代って知っているだろうか。私はリアルタイムでカンボジアがクメール・ルージュによって共産化したことを知っている。当時、アメリカはドミノ理論でベトナム戦争に介入し、ドミノ倒しを防ぎたかったが、実際にはカンボジアが共産化し、その後ラオスも共産化した。当時、アメリカの傀儡であるロン・ノル政権がクメール・ルージュによって倒されたことに喜んだものだ。しかし、数年経ちカンボジア国内の情報が世界に流れるにつれ、クメール・ルージュが国内人民をクレンジングしていた政権と判ってくる。自国民を、インテリと見ると殺し、文化人と見ると殺しまくるとんでもない政権だった。これに世界情勢が絡んで、世界はこれを暫く放置していた。かくいう私も心情としてそうだろう。この辺のことは映画「キリング・フィールド」で実態の何割かのスケールで描かれている。
今のカンボジア人にとって、あの時代を描くことは難しいだろう。隣人が元クメール・ルージュかもしれないし、今のカンボジアがあるのは、現政権との和解から始まっているのだから、そこを掘り返すな、と言う議論も出てくるだろう。そこを敢えて取り上げたことに賞賛を送る。ただ、本当にあのジュノサイドを描こうとすればこんな甘い話では描けないだろう。
「シアター・プノンペン」のストーリー
「シアター・プノンペン」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「シアター・プノンペン」のスペック
基本情報 | |
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ジャンル | ドラマ |
製作国 | カンボジア |
製作年 | 2014 |
公開年月日 | 2016年7月2日 |
上映時間 | 105分 |
製作会社 | A Hanuman Films Production |
配給 | パンドラ |
レイティング | |
カラー/サイズ | カラー |
公式サイト | http://www.t-phnompenh.com/ |
コピーライト | (C)2014 HANUMAN CO.LTD |
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