シアター・プノンペン

しあたーぷのんぺん THE LAST REEL
上映日
2016年7月2日

製作国
カンボジア

制作年
2014
上映時間
105分

レーティング
ジャンル
ドラマ

check解説

ポル・ポト派によるカンボジア大弾圧の時代を潜り抜けた映画をめぐる人間ドラマ。偶然寄った古い映画館で、女子大生のソポンは銀幕に映る若き日の母を見る。母の女優時代を知ったソポンは、内戦で失われたその映画の最終シーンを撮り直そうとする。監督は「トゥームレイダー」のライン・プロデューサーを務めたソト・クォーリーカー。本作が初監督作品となる。ソポンの母を演じるのは、「怪奇ヘビ男」などに出演したカンボジアの往年の大女優ディ・サヴェット。劇場公開に先駆け、第27回東京国際映画祭アジアの未来部門で上映され、国際交流基金アジアセンター特別賞を受賞した(映画祭上映時タイトル「遺されたフィルム」)。
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この作品のレビュー

映画専門家レビュー

  • 翻訳家
    篠儀直子
    キャメラ位置とか脚本の書き方とか若手の演技のつけ方とか、正直もうちょっとどうにか... もっと見る
  • 映画監督
    内藤誠
    同じくクメール・ルージュを素材にしていても、84年製作のローランド・ジョフィ監督... もっと見る
  • ライター
    平田裕介
    クメール・ルージュの悪夢から逃れられぬ世代と同時代を深く知ろうとはしない若い世代... もっと見る

ユーザーレビュー

  • ミャーノフ大佐

     映画の作りとしては雑だな。演出も下手だし、設定も変だ。
     この映画は2014年現在の若者達のちょっと危ない行動から導入してくる。主人公の女子大学生ソポンは、大学に通いながらも夜は不良の彼氏と遊び歩いている。父は自分の上司である将軍の息子とソポンを結婚させようとしている。母は病弱の身。弟だけが真面目な青年でソポンの行動を苦々しく見ている。ある日、昔映画館だった駐輪場にソポンが逃げ込んだ。そこのスクリーンにポル・ポト以前の映画が映し出される。移っている女優が自分の母と知る。映画館の館主は映画の最後の巻だけ紛失している、と言われ、大学の先生を巻き込んで自分で最後の巻を作ろうとする。ここまでの展開で演技のつたなさ、演出の下手さ、ストーリーの安易さに、カンボジアの映画はこんな物かと思った。
     そしてポル・ポト(クメール・ルージュ)時代の話が少しずつ出てくる。父、母がクメール・ルージュを経験した時代が40年前。息子や娘は20歳前後だろう。とすると年代、合わないんじゃない?
     さて、ポル・ポト時代って知っているだろうか。私はリアルタイムでカンボジアがクメール・ルージュによって共産化したことを知っている。当時、アメリカはドミノ理論でベトナム戦争に介入し、ドミノ倒しを防ぎたかったが、実際にはカンボジアが共産化し、その後ラオスも共産化した。当時、アメリカの傀儡であるロン・ノル政権がクメール・ルージュによって倒されたことに喜んだものだ。しかし、数年経ちカンボジア国内の情報が世界に流れるにつれ、クメール・ルージュが国内人民をクレンジングしていた政権と判ってくる。自国民を、インテリと見ると殺し、文化人と見ると殺しまくるとんでもない政権だった。これに世界情勢が絡んで、世界はこれを暫く放置していた。かくいう私も心情としてそうだろう。この辺のことは映画「キリング・フィールド」で実態の何割かのスケールで描かれている。
     今のカンボジア人にとって、あの時代を描くことは難しいだろう。隣人が元クメール・ルージュかもしれないし、今のカンボジアがあるのは、現政権との和解から始まっているのだから、そこを掘り返すな、と言う議論も出てくるだろう。そこを敢えて取り上げたことに賞賛を送る。ただ、本当にあのジュノサイドを描こうとすればこんな甘い話では描けないだろう。

「シアター・プノンペン」のストーリー

カンボジアの首都プノンペン。病を患う母、厳しい軍人の父、口うるさい弟と暮らす女子大生のソポンは、家族との生活に息苦しさを感じていた。父は将軍の息子とのお見合いを決めてくるが逃げ回り、授業をすっぽかしてボーイフレンドのベスナと遊び歩いていた。ある晩、ベスナとはぐれてしまったソポンは、街をさまよううちに廃墟のような古い映画館にたどり着く。そこで彼女は、自分そっくりの姿をした若き日の母がスクリーンに映るのを見る。今の姿から想像できないほど、スクリーンの中の母は輝いていた。上映されていたのは、ポル・ポト派がカンボジアを掌握する前年の1974年に制作された未公開映画「長い家路」。母はその主演女優を務めていた。クメール王国を舞台にしたおとぎ話のような恋愛絵巻に引き込まれていくソポン。しかし内戦の混乱でフィルムが失われ、「長い家路」は途中で終わっていた。映画館の主人で映写技師のソカは、40年間も母を慕い続けていた。ソカこそ「長い家路」の監督ではないかと思ったソポンは、彼のもとで失われた最終シーンを撮り直そうと思いつく。そして撮影に向け動き始めるうちに、父や母をはじめ激動の時代を懸命に生きた人々の数奇な運命が浮かび上がっていく。

「シアター・プノンペン」のスタッフ・キャスト

スタッフ
キャスト役名

「シアター・プノンペン」のスペック

基本情報
ジャンル ドラマ
製作国 カンボジア
製作年 2014
公開年月日 2016年7月2日
上映時間 105分
製作会社 A Hanuman Films Production
配給 パンドラ
レイティング
カラー/サイズ カラー
公式サイト http://www.t-phnompenh.com/
コピーライト (C)2014 HANUMAN CO.LTD

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