解説
世界遺産カッパドキアに佇むホテルを舞台に、オーナー夫婦を中心とした人間模様を通じて、人間の心の暗部を見つめたドラマ。出演は「ウォリスとエドワード 英国王冠をかけた恋」のハルク・ビルギネル。第67回(2014年)カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞作。監督は「昔々、アナトリアで」のヌリ・ビルゲ・ジェイラン。
この作品のレビュー
ユーザーレビュー
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ミャーノフ大佐
うーん... う~ん...
妹と兄との対話シーンが唸らせた。夫と妻との対話シーンに唸らせられた。
妻はイギリスに住んでいたことがあるので、イスラム教徒でありながら髪を隠さないのね。トルコは厳格なイスラムではないんだ。
脚本が良いんだなあ。あんな会話劇をかけるなんて。
最初のシーンで夫のメールに来た寄付依頼について冷静な判断を下した妻が、ラスト近くで大金を貧しい家庭に寄付しようとして見事に裏切られてしまう。(私なら喜んでもらうのだが。)妻はその貧しい家庭の人々をわかってない。お金で解決できると思ってしまう。夫は、一人になって妻のことを思い、一緒に暮らしたいと願う。そこには妻の想いは無い。みーんな自分が正しいと思っていて、相手の思いはそこにはない。
所詮、人と人とはわかり合えないものなのだ。というのもむなしいかな。
後半、妹ももっと登場してほしかった。家族同志の意思が通じない不毛にしてほしかった。
ホテルの旅行客に日本人のカップルがいたのはびっくり。日本人じゃん。
「雪の轍」のストーリー
トルコのカッパドキアに佇むホテル・オセロ。イスタンブールで舞台俳優として活躍したアイドゥン(ハルク・ビルギネル)は、資産家だった父の死をきっかけに引退し、若く美しい妻ニハル(メリサ・ソゼン)と妹ネジラ(デメット・アクバァ)と共にホテルのオーナーとして暮らしていた。ホテルの他にも店舗や家を持ち、膨大な資産の管理は弁護士や使用人に任せる、人も羨むような裕福な生活。そんなある日、彼が運転していた車に道端から石が投げ込まれる。犯人の少年は、アイドゥンに家賃が払えず、家具を差し押さえられたイスマイル(ネジャット・イシレル)の息子だった。不遜な態度でアイドゥンに恨み言をぶつけるイスマイル。イスラム教の聖職者であるイスマイルの弟ハムディ(セルハット・クルッチ)がとりなしたものの、両者は一触即発の状態に。翌日からハムディは、許しを請うため、時には1人で、時には甥を連れてアイドゥンの元を訪れるが、両者の想いはすれ違うばかり。その一方で、地元の新聞に連載しているエッセイが好評なアイドゥンは、自らの経験を活かした本の執筆を目指していた。だが、離婚して出戻ったネジラは、そんな彼の才能を批判する。やがて冬の訪れとともに宿泊客が去ると、まるで時が止まったかのようなホテルで溝を深めてゆくアイドゥンとニハル。自分では働かず、裕福な夫の資産をアテにした慈善活動を生き甲斐にするニハルは、アイドゥンからの協力の申し出を頑なに拒否。やがて、妻を残してイスタンブールに向かうことを決意するアイドゥン。その行く手を、激しい雪が阻む。夫が去った後、イスマイル一家の元へ向かうニハル。困窮する彼らへの援助を申し出るが、イスマイルはそれを拒絶。一方、大雪で足止めを食らったアイドゥンは、旧友の農場を訪れる。友人たちとしたたかに酒を飲み、議論を交わしながら一晩を過ごした彼は、再び雪の道を辿り、妻の元へ戻ることを決意するのだった。
「雪の轍」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「雪の轍」のスペック
基本情報 | |
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ジャンル | ドラマ |
製作国 | トルコ フランス ドイツ |
製作年 | 2014 |
公開年月日 | 2015年6月27日 |
上映時間 | 196分 |
製作会社 | Zeynofilm, Bredok Filmproduction, Memento Films Production |
配給 | ビターズ・エンド |
レイティング | |
アスペクト比 | シネマ・スコープ(1:2.35) |
カラー/サイズ | カラー/シネスコ |
公式サイト | http://www.bitters.co.jp/wadachi/ |
コピーライト | (C)2014 Zeyno Film Memento Films Production Bredok Film Production Arte France Cinéma NBC Film |
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