解説
映画初登場の新人トム・グリースが監督した西部劇。「エルダー兄弟」のルシエン・バラードが撮影を担当、音楽はデイヴィッド・ラクシンがあたっている。出演は「誇り高き戦場」のチャールトン・ヘストン、「グレープ」のジョーン・ハケット、「007は二度死ぬ」のドナルド・プレザンス、リー・メジャーズ、ベン・ジョンソン、ブルース・ダーンなど。
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この作品のレビュー
ユーザーレビュー
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ミャーノフ大佐
チャールトン・ヘストン主演の映画。チャールトン・ヘストンと言えば「ベン・ハー」や「十戒」などに代表されるようなヒーローであり、強く正しい人間を演じてきていて、そのイメージが強い。ところがこの映画では文字も読み書きできない、粗野な牧童ウィル・ペニーを演じている。しかもガンファイトもなく、悪者にも簡単に捕らえられてしまう。そんな彼がふとした偶然で母子の面倒を見ることになる。これまでの西部劇とは全く違う西部劇だ。ヒーローでも何でも無い、ただ小さい頃から一人で生きてきてカウボーイとして生きてきた男が50近くになって初めて女性に思いを寄せる。ここで現れるのがドナルド・プレザンス演じる自称牧師のクィント一家。彼の悪党ぶりがすごいね。昔はドナルド・プリーゼンスって呼んでなかったっけ(私が間違って憶えていただけ)?彼は「ミクロの決死圏」や「刑事コロンボ/別れのワイン」で印象的だった。はげ頭が特徴なんでこんな髭ぼうぼうの悪役は初めて見た。
時代背景がいつか判らない。舞台は中西部の北の方だろう。アメリカの北部の冬は相当厳しい。冬の間、山にこもって牛を守る仕事があるのだろう。「ブロークバック・マウンテン」もそんな仕事だ。
いつものチャールトン・ヘストンと違い、若い者達にからかわれる、もう少しで年寄りになるカウボーイで哀愁を漂わせている。彼がこんな演技も出来るとは。スタローンとかシュワちゃんも見習って演技の幅を広げれば良いのに。このなんともいえない哀愁がこの映画に深みを与えてくれている。ラストはどっちに転んでも良かったのよ。でも所詮、流れ者は流れ者か。
「ウィル・ペニー」のストーリー
少年時代から牧場の手伝いをし、牛をあつかうことにかけては、近在きっての腕のいいカウボーイとして知られるウィル・ペニー(チャールトン・ヘストン)は、ある日ダッチとブルーを連れて町に出かけたが、途中、クイントというならず者の一家とけんかしてしまった。このけんかでダッチーが重傷を負ったので、ウィルとブルーは近くの牧場にダッチーを運び、傷の手当てをした。その牧場には、カリフォルニアにいる夫に会いに行くというかザリン(ジョーン・ハケット)が、男の子を連れていて、ダッチーの手当てを手伝ってくれた。町に着くとウィルは、ダッチーを医師に預け、ブルーを町に残して、冬中の牧草の手入れをするため、草原に出かけた。この草原は、アレクスという男が管理しており、ウィルは、人里離れた小屋に冬の食糧を運ぶ仕事を頼まれた。その途中、ウィルはクイント一家に襲われ、馬と食糧と銃を奪われた。やっとの思いで小屋にたどり着いてウィルは、そこで吹雪に道をはばまれて避難していたカザリン母子に会った。カザリンは傷ついたウィルを手厚く看病した。ウィルは、生まれて初めて愛情の温かさを知った。だが、ウィルが小屋にいることを知ったクイントたちが、再び押しよせてきた。武器もなく、やっと元気をとり戻したばかりであるウィルは、彼らの言うままになるしかなかった。しかし、ウィルはクイントたちと争いやっと小屋を脱出した。ちょうどそこへブルーたちが救援に駆けつけ、クイント一味は倒された。牧場で冬を過ごすことになったカザリン母子は、ウィルに牧場に来るよう勧めた。カザリンはカリフォルニアに去った夫と別れ、ウィルと結婚する決心をしていた。だがウィルは、その申し出を断った。一生をカウボーイとして生きすでに50に近い。これからもカウボーイとして生きるほかはない。ウィルは、そう考えたのだった。アレクスに、自分がもらう金があれば、カザリンたちにやってくれと頼み、ウィルは立ち去った。泥によごれたウィルの顔に、涙が流れていた。
「ウィル・ペニー」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「ウィル・ペニー」のスペック
基本情報 | |
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ジャンル | 西部劇 |
製作国 | アメリカ |
製作年 | 1967 |
公開年月日 | 1968年3月2日 |
製作会社 | エンゼル・グリース・セルツァ・プロ |
配給 | パラマウント |
レイティング | |
アスペクト比 | シネマ・スコープ(1:2.35) |
カラー/サイズ | カラー/シネスコ |
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