ソウ Xの映画専門家レビュー一覧

ソウ X

ソリッド・シチュエーション・スリラーの人気作「ソウ」シリーズ第10弾。末期がんで余命わずかとなったジョン・クレイマーは、実験医療処置を受けるために訪れたメキシコで、それが詐欺であることを知り、復讐のため、詐欺師たちに死のゲームを仕掛ける。出演はシリーズの人気キャラクター。ジグソウを一貫して演じてきたトビン・ベルと、同じくシリーズの常連となったショウニー・スミス。シリーズの生みの親、ジェームズ・ワン&リー・ワネルが製作総指揮を務め、「ソウ」と「ソウ2」の間に位置する物語となっている。
  • 俳優

    小川あん

    学生時代に「『ソウ』見た? グロいよね?」と話題になっていて、興味本位で見てたあの頃。そして、久しぶりに見て……今はちょっと無理。この不快感をあえて感じたいとは思わない。しかも、いつのまにか首謀者が明かされていて、報復としてあの悪夢の実行をする。陳腐な復讐劇としてしか見られないし、首謀者のサイコパスお爺ちゃんの悲哀な姿など見たくない。身元が明かされないでいたほうが良かったと思う。そのほうが、スリルを守れた。私がお母さんになったら絶対子どもに見せたくない一本。

  • 翻訳者、映画批評

    篠儀直子

    後半セシリアが、ジョン・クレイマーの正体を知っていたと言い出すので、「だったらその時点で『こいつに手を出すのはやめよう』と判断しないか?」と思ったのだけど、そういうことを考えて観てはいけない。ゴア・スペクタクルだけでなく、意外にもドラマとしてちゃんとしている。心理とかそもそも必要ないとか、ジグソウはこんなキャラクターであってほしくないという意見もあるだろうが、「命をもてあそぶ」ことへの正当な怒りが表現されていて、シリーズから取り出してこれ単体で観ても悪くない。

  • 編集者/東北芸術工科大学教授

    菅付雅信

    連続ゲーム殺人を描く「ソウ」シリーズ最新作。末期癌で余命宣告を受けた主人公の老人が実験治療を試すためにメキシコへ。しかしそれは詐欺で、彼は詐欺師たちに報復する。あっさり騙される主人公にも、彼の報復に簡単に絡み取られる悪役たちにもまったく感情移入できないまま、映画はおびただしい出血量の殺人ポルノと化す。シナリオにも撮影にも創意工夫は見られず、続篇を予感させる結末にもうんざり。映画の面白さよりも露悪的残酷さに奉仕する製作姿勢に告げたい、「ゲームはもうおしまい」だと。

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