ザ・バイクライダーズの映画専門家レビュー一覧
ザ・バイクライダーズ
「エルヴィス」のオースティン・バトラー、「ヴェノム」シリーズのトム・ハーディが初共演した青春アクション。60年代シカゴに実在した伝説的バイク集団アウトローズ・モーターサイクル・クラブ。その創立から数年間の軌跡を、劇中では“ヴァンダルズ”として映画化。本作のストーリーテラーであるキャシーを演じるのは「最後の決闘裁判」のジョディ・カマー。監督は「ラビング 愛という名前のふたり」のジェフ・ニコルズ。
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俳優
小川あん
’60sの伝説的モーターサイクルクラブの軌跡。完全な物語に寄らず、その中心にいたベニーの妻、キャシーによるインタビューから軌跡を追うことになる。この形式がますます傍観者として、憧れ・ロマンを掻き立てる。キャシーが走馬灯のようにあの頃の青春を浮かべれば、男のロマンが女のロマンにもなり得るのだ。ベニーのような夫を、わたしもあのような形で苦しみを感じながらも、愛してしまうと思う。ジョディ・カマー、オースティン・バトラーも最高に尽きる。推しのコンビに+★1
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翻訳者
篠儀直子
男ふたりと女ひとりのトライアングルで、中心となるのは(取り合いの対象になるのは)オースティン・バトラーだが、物語自体の中心は若い夫婦ではなく、枯れた魅力と色気が共存するトム・ハーディ。題材から想像されそうなアクションや、バイク走行の疾走感よりも、時代の変化と人生の機微、人物の心理の交錯が作品の主眼。俳優の表情をとらえたクロースアップで、しばしばカット尻を長く残しているのが効果を上げる。「チャレンジャーズ」に続き、マイク・フェイストの柔らかい個性が映画を温める。
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編集者/東北芸術工科大学教授
菅付雅信
60?70年代のシカゴのバイクライダーを捉えた同名写真集にインスパイアされた作品で、アメリカの暴走族グループの栄枯盛衰を描く。カリスマ的リーダーをT・ハーディ、グループ内一匹狼をA・バトラーが演じ、骨太の不良の美学を濃密に描く。劇中にマーロン・ブランドが暴走族を演じた「乱暴者」が紹介され、ハーディがブランド、またバトラーは往年のジェームス・ディーンを彷彿させる。男らしさや不良は今やノスタルジーだが、この命懸けのノスタルジックな美学は魂を揺さぶる。
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