トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦の映画専門家レビュー一覧

トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦

「インビジブル・スパイ」のルイス・クー、香港映画界のレジェンドであるサモ・ハンらが出演、香港にあった迷宮のような巨大スラム街・九龍城砦を舞台にしたアクション大作。1980年代、九龍城砦に逃げ込んだチャンは、仲間と出会い友情を育むが、九龍城砦を巻き込む抗争が激化する。監督は「西遊記」シリーズや「ドラゴン×マッハ!」を手がけたソイ・チェン。アクション監督を「るろうに剣心」シリーズや「レイジング・ファイア」など国内外問わず活躍する谷垣健治が、音楽を『機動警察パトレイバー』や「イップ・マン」シリーズなど幅広い作品を手がける川井憲次が担当。
  • 文筆業

    奈々村久生

    かつて香港の無法地帯として名を馳せた九龍城砦。イギリス統治下にありながら中国が領有権を保時する複雑なシステムのもとで、違法建築と独自のコミュニティがうごめくカオスは、いわば治安最悪のタワマン社会。劇中に登場するのはそれを再現した巨大セットだが、空間の狭さと縦長の高低差を逆手に取って縦横無尽に動き回るカメラワークは臨場感たっぷり。香港ノワールの人情噺と復讐譚をスタンダードに落とし込んだストーリーとともに裏社会をエンタメとして楽しむテーマパーク性に満ちている。

  • アダルトビデオ監督

    二村ヒトシ

    CGもセットもお金はかかってるんだろうけど大味だし、基本設定も脇役たちのあつかいも雑だし、男と男の性的ではない因縁や友情にも、漫画だったら大好きなんだが映画で見せられる格闘アクションやイケメンの殺しあいにも僕は興味がもてなくて、しかしお好きな人なら楽しめるのかもしれないので、そういう人の感想が聞きたい。サモ・ハンの悪役はよかった。途中までコイツぜったい弱っちいだろと踏んでいたある登場人物が神秘的に強く、しかもそれで最後まで引っ張ってたのも漫画的で笑った。

  • 映画評論家

    真魚八重子

    香港映画に対してまだ揺れる気持ちがある。黄金期の香港映画全体の力強さ、ハチャメチャさ、顔触れの豪華さといったものが、若干戻りつつあるが、まだ郷愁に囚われてしまって観客として前に進めない。本作のアクションは谷垣健治が手掛け、スピーディーだしドラマティックな要素もあってかっこいい。ただし昔の香港映画の破綻寸前な追い詰め方に対し、矛盾のない小さなトラブルで動いている、今の脆弱なストーリーでは物足りない。アクションを切羽詰まったものにする裏付けが欲しい。

1 - 3件表示/全3件