ショウタイムセブンの映画専門家レビュー一覧

ショウタイムセブン

2014年公開の韓国映画「テロ, ライブ」を原作にオリジナル要素も盛り込んだ、阿部寛主演によるサスペンス。夜7時、爆破犯からの1本の電話で始まる犯人との独占緊急生中継。爆弾が仕掛けられたテレビ局で、交渉役に指名されたのは元人気キャスターの折本だった。共演は「Gメン」の竜星涼、「モエカレはオレンジ色」の生見愛瑠、「東京公園」の井川遥、「映画 おいハンサム!!」の吉田鋼太郎。監督は「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」の渡辺一貴。
  • ライター、編集

    岡本敦史

    原作映画「テロ,ライブ」の果敢さ、精神性、ラジオ愛などは期待するべからず。テレビ局の信用がとことん失墜した状況での公開は、またとない好機だったかもしれないが、半端に踏み込みの浅い脚色が忖度や限界ばかり感じさせる。原発問題、政治とカネ、メディアの凋落と、こんなにも切り込む対象の多い国でリメイクすれば成功確実だったはず。元首相銃撃という立派なテロがあったというのに、驚くようなセリフもある。韓国映画からの学びが単にエンタメ性でしかないなら、いよいよ絶望的だ。

  • 映画評論家

    北川れい子

    リアルタイムといえば、米映画「フォーン・ブース」は、街中の公衆電話の受話器を離せば爆死するという密室劇で、生放送中のテレビスタジオが舞台の本作とは仕掛けが異なるが、主人公がその場所を一歩でも出れば即爆破という設定は共通する。“ウスバカゲロウ”と名乗る視聴者からの脅迫電話。生放送というのがミソで、観ているこちらも二転三転する展開にかなり翻弄されるが、ラジオに左遷されたのが不満の主人公のキャラが鼻につき、そうかテレビの方がエライのか。ちなみに当方はラジオ派です。

  • 映画評論家

    吉田伊知郎

    フジテレビ騒動の渦中に観たので、白々しく感じたのは仕方なし。「テロ,ライブ」が傑作だけに、そのままリメイクすれば良いものを改悪してしまうところがさすが。全篇を狭いラジオブースのみで犯人とやり取りするのが良かったのに、TVスタジオの豪華なセットへ早々に移るので興醒め。阿部寛は簡易セットでも、その存在感で全篇を引っ張れる逸材なのに、それを信用しないから無駄な装飾物を作ってしまう。クライマックスはオリジナル通りにしておけば、今なら大いに盛り上がったのに。

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