Flowの映画専門家レビュー一覧

Flow

長編デビュー作「Away」でアヌシー国際アニメーション映画祭コントルシャン賞を受賞したギンツ・ジルバロディス監督の長編2作目。世界が大洪水に包まれるなか、旅立つ決意をした一匹の猫とボートに乗り合わせた動物たち。彼らの冒険の先にあるものとは? 2025年アカデミー賞国際長編映画賞ラトビア代表。2024年アヌシー国際アニメーション映画祭4部門受賞。2024年カンヌ国際映画祭ある視点部門出品。第37回東京国際映画祭(2024)企画「アニメーション」にて上映。
  • 映画評論家/番組等の構成・演出

    荻野洋一

    この動物アニメは痛烈なディズニー批判としてある。この冬は「ライオン・キング ムファサ」の自堕落な擬人化描写に辟易とさせられた。人間界の自分本位な問題系を野生動物に転嫁する傲慢さ。ハリウッドアニメは擬人化の病から逃れられそうもない。いっそ「すずめの戸締り」の新海誠のように椅子を擬人化した方がまだ刺激的である。一方、ジルバロディスは動物を動物としてしか撮らない。人間の痕跡は人類文明終焉後の廃墟としてのみ提示する。私たち人類に観念の行き先を迫る作品である。

  • アダルトビデオ監督

    二村ヒトシ

    擬人化のぐあい、リアルさのころあいが僕にはちょうどよかった。自分がいかに「動物が言葉の世界で生かされてる映画(動物をダシにした映画)」が嫌いかがわかった。言葉をもたざる者たちは、人間が滅亡して言葉を使う者が誰もいなくなってから、どんなチームを組んでどんな冒険をし、どんな神話に救われて、どんな夢をみるのか。言葉でしか世界を把握できない我々は言葉を使わないと映画のシナリオも書けない阿呆だ。マジで我々はそろそろ絶滅しても大丈夫だと思った。あとは動物に任せよう。

  • 著述家、プロデューサー

    湯山玲子

    ナポリ沖バイアの水没遺跡や、水の都ヴェネチアのダントツ人気等、水の驚異と美しさというものは、身体感覚的にも情動的にも私たちを強烈に魅了するが、そこにアニメ表現がド正面から挑んだ凄い作品。ノアの箱舟状態の船に、主人公の黒猫や犬、トリ、猿、カピバラが文字通り呉越同舟するのだが、収集癖、群れ欲求などの生物的習性を越えて、仲間になっていく姿に、宇宙船地球号っぽい多様性共存のロマンを感じさせるところもナイス。動物たちの擬人化、必要最小限のバランスも上手い。

  • 映画評論家/番組等の構成・演出

    荻野洋一

    この動物アニメは痛烈なディズニー批判としてある。この冬は「ライオン・キング ムファサ」の自堕落な擬人化描写に辟易とさせられた。人間界の自分本位な問題系を野生動物に転嫁する傲慢さ。ハリウッドアニメは擬人化の病から逃れられそうもない。いっそ「すずめの戸締り」の新海誠のように椅子を擬人化した方がまだ刺激的である。一方、ジルバロディスは動物を動物としてしか撮らない。人間の痕跡は人類文明終焉後の廃墟としてのみ提示する。私たち人類に観念の行き先を迫る作品である。

  • アダルトビデオ監督

    二村ヒトシ

    擬人化のぐあい、リアルさのころあいが僕にはちょうどよかった。自分がいかに「動物が言葉の世界で生かされてる映画(動物をダシにした映画)」が嫌いかがわかった。言葉をもたざる者たちは、人間が滅亡して言葉を使う者が誰もいなくなってから、どんなチームを組んでどんな冒険をし、どんな神話に救われて、どんな夢をみるのか。言葉でしか世界を把握できない我々は言葉を使わないと映画のシナリオも書けない阿呆だ。マジで我々はそろそろ絶滅しても大丈夫だと思った。あとは動物に任せよう。

  • 著述家、プロデューサー

    湯山玲子

    ナポリ沖バイアの水没遺跡や、水の都ヴェネチアのダントツ人気等、水の驚異と美しさというものは、身体感覚的にも情動的にも私たちを強烈に魅了するが、そこにアニメ表現がド正面から挑んだ凄い作品。ノアの箱舟状態の船に、主人公の黒猫や犬、トリ、猿、カピバラが文字通り呉越同舟するのだが、収集癖、群れ欲求などの生物的習性を越えて、仲間になっていく姿に、宇宙船地球号っぽい多様性共存のロマンを感じさせるところもナイス。動物たちの擬人化、必要最小限のバランスも上手い。

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