ヒプノシス レコードジャケットの美学の映画専門家レビュー一覧

ヒプノシス レコードジャケットの美学

ピンク・フロイド、ジェネシス、レッド・ツェッペリン、ポール・マッカートニーら数々のアーティストのカバーアートを創作、それまで宣伝用パッケージにすぎなかったアルバム・ジャケットを芸術の域に高めた伝説のデザイン集団“ヒプノシス”に迫るドキュメンタリー。出演は、ヒプノシスのオーブリー・パウエル、ストーム・トーガソン、ピンク・フロイドのロジャー・ウォーターズ、デヴィッド・ギルモア、ニック・メイスン、レッド・ツェッペリンのジミー・ペイジ、ロバート・プラント、10ccのグレアム・グールドマン、オアシスのノエル・ギャラガー、そしてポール・マッカートニー、ピーター・ガブリエル。監督は「コントロール」のアントン・コービン。
  • 俳優

    小川あん

    “なんとなくいいな”と思って、レコードのジャケ買いをする。その衝動のワケは、ヒプノシスの究極のクリエイティビティから始まったのだと思う。音楽とアートが密かに響き合い、ジャケットをキャンバスにして時代の空気やアーティストの真髄を入れ込む。デザイナーたちの言葉からにじむ「音楽を見せる」意識。数々の名盤は秘密めいたメッセージをはらんでいる。古びたカメラや現場での試行錯誤はどこか温かく、いまのデジタル時代とは違う不完全さの魅力に触れた気がする。

  • 翻訳者、映画批評

    篠儀直子

    あんなにかっこいいジャケット群について語るのだから、この映画のルック自体もヒップでクールでなければならないが、意表を突くオープニングからの数分間で、そこは軽くクリア。でもジャケットデザインそのものというよりは、デザイナー集団「ヒプノシス」の物語が主題。彼らがジャケットを手掛けたバンドも数多く登場し、なかでもつながりの深かったピンク・フロイドとの関係は、この映画の第二の軸となる。シド・バレットの離脱とヒプノシスの解体が重ねられるエンディングにはこちらもしんみり。

  • 編集者/東北芸術工科大学教授

    菅付雅信

    ピンク・フロイド、レッド・ツェッペリンなど70年代ロックの名盤のジャケットを数多く手がけたデザイン・アート集団「ヒプノシス」のドキュメンタリー。ロックの歴史に残るイメージ・メイキングの裏側が余すところなく語られ、その大胆さや破天荒さに感嘆。さらにヒプノシス二人の青春物語としての甘さも苦さも描き、その結末に涙腺がゆるむ。写真家であり映画監督でもあるアントン・コービンならではの美意識もうまく化学反応している。

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