ベイビーガールの映画専門家レビュー一覧

ベイビーガール

ニコール・キッドマンが大成功を収めた女性CEOに扮し、年下のインターンと“誘惑ゲーム”を繰り広げるエロティック・エンターテインメント。完璧なCEOのはずが、年下の男に欲望を嗅ぎ分けられ、力関係が逆転、次第に深みにはまっていく様子をスリリングに描く。ニコール・キッドマンは愛する夫と子供、キャリアと名声、すべてを兼ね備えながらも、満たされない渇きを抱える主人公のロミーを演じる。ロミーを誘惑するサミュエルに「逆転のトライアングル」のハリス・ディキンソン。ロミーの夫のジェイコブに「ペイン・アンド・グローリー」のアントニオ・バンデラス。監督は俳優としても活躍し、ニコールにあて書きした脚本でその稀有なる才能を開花させたハリナ・ライン。戸惑いと葛藤に激しく揺さぶられながらも、いつしかサミュエルとの刺激的な駆け引きに溺れていくロミー。ユーモアとロマンティックが交錯する綱渡りの果てに、ロミーは自身のすべてを肯定し、解き放つことができるのか。
  • 映画評論家

    鬼塚大輔

    「ナインハーフ」、はたまた「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」かと思っていると「危険な情事」に……、と特定ジャンルに収まらないまま物語が進んでいくのがむしろ魅力の作品。善か悪か、被害者か加害者か、と単純化できないヒロインをキッドマンが熱演。かつてのセックスシンボル、アントニオ・バンデラスをこの役で使うというのも、「昼下りの情事」でモーリス・シュヴァリエにうらぶれた探偵を演じさせたワイルダーのイジワルさを想起させて面白い。

  • ライター、翻訳家

    野中モモ

    よくある話の男女逆転? なんてことないエロティック・スリラー? しかしこの「なんてことなさ」こそ女たちが獲得しようと苦労してきたものなのだろう。「サブスタンス」のデミ・ムーアもそうだったけど、洋画が好きな自分はある意味ずっと「ニコール・キッドマン物語」を見てきたんだな……と思い知らされて感慨深いものがある。だって「誘う女」も「ある貴婦人の肖像」も「アイズ ワイド シャット」も伏線になるわけだから。音楽がどこかふざけてる感じなのも「あえて」の深刻の回避とみました。

  • SF・文芸評論家

    藤田直哉

    女性CEOがインターンに誘惑され、秘められていたSM的欲望を解放していく。よくある官能映画・ポルノの導入だが、組織内で女性が「権力」を持っているが、プレイや関係においては従属であるという厄介な問題を真正面から描いた点に好感。立場や家庭があるから「ダメ」と思いながら、誘惑に惹かれていく分裂した女性の演技をニコール・キッドマンが実に見事に演じている。SM的な欲望をどうしても抱いてしまうことをどう受容するかという物語の側面には感動させられた。

  • 映画評論家

    鬼塚大輔

    「ナインハーフ」、はたまた「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」かと思っていると「危険な情事」に……、と特定ジャンルに収まらないまま物語が進んでいくのがむしろ魅力の作品。善か悪か、被害者か加害者か、と単純化できないヒロインをキッドマンが熱演。かつてのセックスシンボル、アントニオ・バンデラスをこの役で使うというのも、「昼下りの情事」でモーリス・シュヴァリエにうらぶれた探偵を演じさせたワイルダーのイジワルさを想起させて面白い。

  • ライター、翻訳家

    野中モモ

    よくある話の男女逆転? なんてことないエロティック・スリラー? しかしこの「なんてことなさ」こそ女たちが獲得しようと苦労してきたものなのだろう。「サブスタンス」のデミ・ムーアもそうだったけど、洋画が好きな自分はある意味ずっと「ニコール・キッドマン物語」を見てきたんだな……と思い知らされて感慨深いものがある。だって「誘う女」も「ある貴婦人の肖像」も「アイズ ワイド シャット」も伏線になるわけだから。音楽がどこかふざけてる感じなのも「あえて」の深刻の回避とみました。

  • SF・文芸評論家

    藤田直哉

    女性CEOがインターンに誘惑され、秘められていたSM的欲望を解放していく。よくある官能映画・ポルノの導入だが、組織内で女性が「権力」を持っているが、プレイや関係においては従属であるという厄介な問題を真正面から描いた点に好感。立場や家庭があるから「ダメ」と思いながら、誘惑に惹かれていく分裂した女性の演技をニコール・キッドマンが実に見事に演じている。SM的な欲望をどうしても抱いてしまうことをどう受容するかという物語の側面には感動させられた。

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