サイレントナイト(2022)の映画専門家レビュー一覧
サイレントナイト(2022)
全編セリフなしの壮絶なる復讐劇。名匠ジョン・ウーが切り拓くアクション映画新時代。ギャング同士の抗争に巻き込まれ、愛する息子と自らの声を失った男が復讐を決意する。
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映画評論家/番組等の構成・演出
荻野洋一
まず紹介文だけ読んで、チャールズ・ブロンソン時代ならともかく、今さらながらにマッチョかつアナクロな復讐譚が始まるのかと気が滅入ったが、いざ始まってみると画面内にクレッシェンドで異様な緊張感が充?されてくる。ジョン・ウーは腐ってもジョン・ウーだ。冒頭の抗争で主人公から声帯を奪い、むだな自己吐露の猶予を?奪した上で、すべてを喪失した復讐者の生き様を一挙手一投足のみで潔くすくい取っていく。ロッテントマトでの低評価なんぞに惑わされてはならない。
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アダルトビデオ監督
二村ヒトシ
男のロマンに興味ないので見当違いな文句を書きますが、セリフなきバトルを撮るためだけに主人公を?者にしちゃったね。敵がヤク中とか、助けに来るのが真面目な黒人とか、復讐の動機が家族愛とか古すぎるよ。俺だったら、声を奪われた主人公は孤独な非モテだが好きだった不美人が殺されて立ちあがるひ弱な黒人、悪の黒幕は健康で卑劣で屈強な各人種の美女の合議制組織、手下はトランプとバイデンとプーチンと習近平に似せた老人の愚連隊にする。それでこれと同じアクションやったら星5。
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著述家、プロデューサー
湯山玲子
これぞ、ジョン・ウー歌舞伎。クリスマスの惨劇、主人公が声を失う設定、要所に響く聖歌、華麗な銃撃戦の数々に、ギャングの親玉のタトゥーと悪相はもはや実悪、仁木弾正! 最も共感を得られる復讐とは「理不尽に我が子を殺された親」のそれだが、加害者側の事情等は一切ナシ。正義と悪との対立項を様式美にて描き、目には目をのハムラビ法典にまで遡る人間の復讐力の凄まじさが現出。言語という近代的理性を立ち入れさせないための沈黙劇。でもって、やっぱ歌舞伎だ!
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