ズートピアの映画専門家レビュー一覧
ズートピア
夢に燃える新米警官のウサギと詐欺師のキツネが、動物たちの楽園ズートピアの危機に立ち向かう冒険アニメ。「塔の上のラプンツェル」のバイロン・ハワードと「シュガー・ラッシュ」のリッチ・ムーアが監督を務める。3D/2D同時公開。動物たちが人間のように暮らす大都市ズートピアで、ウサギ初の警察官になったジュディは、認められようとしてキツネの詐欺師ニックと組み失踪事件の捜査にあたるうちに、ズートピアに隠された陰謀に気付く……。字幕版では、ジュディの声をテレビドラマ『ワンス・アポン・ア・タイム』のジニファー・グッドウィンが、ニックの声を「モンスター上司」のジェイソン・ベイトマンが担当する。
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映画・漫画評論家
小野耕世
このところディズニーの長篇アニメの進化がいちじるしい。アカデミー賞受賞の「インサイド・ヘッド」に続くこの長篇も、まず着想が斬新、脚本が見事で無駄な画面がなく、最後まではらはらさせながら、いっきに見せてしまう。動物アニメが得意のディズニーでも、なまけもののキャラクターが出るのは初めてだが、爆笑させてくれる。人種差別そのほかの問題を巧みに動物の世界に置きかえて描き、うさぎの女性警官の戦いを応援してしまう。おとなもこどもも楽しめるすばらしさだ。
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映画ライター
中西愛子
動物たちが人間のように暮らしているズートピア。それぞれの動物のサイズを含めた姿形から性質まで、愛らしいアニメ・キャラクターでリアルに再現しながら、ひとつの世界観にそれらを投入。多様性の社会における共存をテーマにしていて、楽しめると同時にいろいろ考えさせられる。相当に実験的な試み。本質を突きすぎて怖いところもあるけど、確かにまずは己を知らないと何事も始まらないからなぁ。主役のウサギとキツネがいいコンビ。ナマケモノとマフィアのネズミが最高でした。
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映画批評
萩野亮
おどろいた。正直ちょっとなめていた。「アナ雪」や「イントゥ・ザ・ウッズ」などを通じてハッピーエンディングの発想を更新してきたディズニーが、この不寛容の時代に満を持してもってきた作品だという気がする。失言で立場をうしなう主人公がこれまでいただろうか(正しくSNS時代の反映である)。演説好きのアメリカ的な価値観が基礎にありながらも、「多様性の尊重」をまっすぐに伝えたことはすばらしいと思う。ひょっとすると「一億総活躍社会」の最良のテキストかもしれない。
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