サブイボマスクの映画専門家レビュー一覧

サブイボマスク

ミュージシャンのファンキー加藤が映画初主演したハートフルコメディ。シャッター街と化した商店街を再生しようと立ち上がった春雄は、覆面レスラーだった父の形見のマスクをかぶり、一人ライブを始めるが……。監督は「ホテルコパン」の門馬直人。出演は、「サラリーマンNEO 劇場版(笑)」の小池徹平、「呪怨 ザ・ファイナル」の平愛梨。実写の中に「秘密結社 鷹の爪」シリーズのDLEが手掛けたアニメキャラクターも登場する。
  • 映画評論家

    北川れい子

    主人公の熱さが熱い映画になるとは限らない。しかもファンキー加藤がヤカマしく演じている熱血漢は、歌も人に聴かせるレベル以下、これで町おこしのヒーローとは、説得力もない。むろん、誰かのガムシャラな行動が、諦めムードを打ち破るという話は現実にもアリだし、あってほしいが、高いのはテンションだけで中身はスカスカではね。でもこの映画の完成には意義がある。ロケ地となった地域の映画作りを方々の支援と協力。きっとお祭りふうに楽しんで……えっコリた!?

  • 映画文筆系フリーライター、退役映写技師

    千浦僚

    ポジティブであるということに逆らいがたい力があるということが描かれていて、これは恐ろしいことですよ。単調さを良い話であることで観客に呑ませようとする甘さがあって、それはかつての清水宏や森﨑東の映画、根本敬のルポに登場する人物のように善意や熱意が一種の狂気だというタフな世界観を持てれば払拭できたと思う。ギャグも近く本欄で紹介する予定の「野生のなまはげ」のほうが洗練されてる。いいセックスをしそうな主演ファンキー加藤の壮健さは良かった。

  • 映画評論家

    松崎健夫

    サブイボマスクの頬に光るブルーのライン、それは〈涙〉である。人の悲しみを引き受けることで笑顔を与える。そのことを主人公は「自分が笑顔でなければ相手は笑わない」と語る。本作で描かれることは〈綺麗事〉ばかりだが、それは全て正しい。そして地方振興のあり方とその問題点も丁寧に描いている。町おこしが応急処置であってはならないからこそ、地方にまつわるキーワードの嵐が吹き荒れ、〈綺麗事〉で済まない点も否めない。それでも本作は「やるしかない!」と思わせるのだ。

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