クリミナル 2人の記憶を持つ男の映画専門家レビュー一覧
クリミナル 2人の記憶を持つ男
他人の記憶を脳に移植された男の壮絶な運命を映し出すスパイアクション。謎のハッカー“ダッチマン”の居場所を知るCIAエージェントが任務中に死亡した。世界を救う最後の希望として彼の記憶を脳内移植された死刑囚ジェリコは、テロリストとの闘いに挑むのだが……。出演は「ドラフト・デイ」のケヴィン・コスナー、「デッドプール」のライアン・レイノルズ、「裏切りのサーカス」のゲイリー・オールドマン、「ジェイソン・ボーン」のトミー・リー・ジョーンズ、「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」のガル・ガドット。脚本を「ザ・ロック」のダグラス・S・クックとデヴィッド・ワイズバーグが担当。監督は「THE ICEMAN 氷の処刑人」のアリエル・ヴロメン。
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翻訳家
篠儀直子
面白い映画であると同時に興味深いのは、CIAとテロリストとロシアが奪い合うハッカーがどこかスノーデンっぽいことと、途中までCIAの描き方が否定的なこと。O・ストーンは自分で言うほど孤軍奮闘ではないのかも。でもその線で考えるとこのラストは日和ったとも言える。K・コスナーが「パーフェクト・ワールド」を彷彿とさせる味わいを時折にじませ、「氷の処刑人」で渋い演出を見せたA・ヴロメンが今回は華やかさも獲得。しかしこの監督、変な車を走らせるのが好きですね。
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映画監督
内藤誠
ヴェテラン勢揃いで、まずCIAのロンドン支局長ゲイリー・オールドマンがとんでもない計画を立てる。トミー・リー・ジョーンズの脳外科医に依頼して、死んだ仲間の記憶を生きた男の脳に移植、記憶の内容を知ろうとする。残酷な手術を受ける男が極悪囚人のケヴィンで、優しい男と暴力的人間の二重人格を熱演。頭脳の手術により、人間が容易に変わるものなら、犯罪者すべてに手術をすればいいのにと思っているうちに娯楽的アクションが始まり、核爆発阻止の物語は吹っ飛んでしまった。
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ライター
平田裕介
“記憶移植もの”を“ジェイソン・ボーン”シリーズ風味で仕上げてみました。そんなノリだが、亡き敏腕工作員の記憶を移植されるK・コスナーが前頭葉の損傷が原因で善悪の判断ができぬ死刑囚というのが妙味。コイツの向こう見ずぶりと工作員が培ってきた経験と能力が融合されて、無双感はなはだしくなっていくのが痛快だ。延髄にある記憶移植の手術跡から血をタラタラと垂らしながら、出会う人間にいちいち毒づき、殴りかかり、銃をぶっ放すブルータルなコスナーに新たな可能性を感じた。
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