トイ・ストーリー4の映画専門家レビュー一覧
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翻訳家
篠儀直子
シリーズを続けて観てきた人なら感激はなおさらだろうが、そうでなくとも、キャラクターの動き、彼らが自然に溶けこむ美術など、すべてが豊かな情感を醸し出す。ウッディとボーが再会する瞬間の見事な演出。そのうえキアヌ・リーヴスが声を当てるスタントマンおもちゃ、凶暴なぬいぐるみコンビ(うち一体の声はジョーダン・ピール)など、新顔キャラが全員可笑しい。とあるフィギュアがウッディとのハイタッチにさりげなく失敗していたことに、ちゃんとオチがつくのもお見逃しなく。
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映画監督
内藤誠
おもちゃの動きが速いので、話がぎっしり詰まっている。今回の見せ場としては子どもが使い捨て先割れスプーンで作ったおもちゃのフォーキーに大役を振っていることで、自分はなぜこの世に存在するのだろうという呟きは、まるで日本の若者の物語。保安官のカウボーイ人形ウッディがフォーキーを手作りした女の子に会わせようとする過程でのアンティークショップや大観覧車のある移動遊園地の舞台が緻密な仕上がり。久しぶりに会えた羊飼い人形のボーもたくましく魅力的になっていた。
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ライター
平田裕介
もはや磁器人形のボー・ピープが主人公と言っていい。数あるキャラクターのなかでも淑女を極めていた彼女がスカートをパンツに穿き替えて、ウッディをガンガンと引っ張り、誰の所有物にもならないという姿勢を貫く姿は痛快至極だし、まさに当世風でもある。だが、主従とは違った玩具と持ち主となる子供との絆がシリーズの笑いとスリルと涙を生んできたはず。ボーを通して掲げられる“自由”というテーマが大事なのは重々承知しているが、前3作をひっくり返されたようで切なくなった。
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