恋妻家宮本 KOISAIKA MIYAMOTOの映画専門家レビュー一覧

恋妻家宮本 KOISAIKA MIYAMOTO

TVドラマ『家政婦のミタ』などの脚本家・遊川和彦による監督デビュー作。重松清の家族小説『ファミレス』を原作に、阿部寛と天海祐希のW主演で映画化。子どもが独り立ちし、ふたりきりとなった宮本夫婦。ある日、夫は妻が隠し持っていた離婚届を見つけるが……。共演は「奇跡のリンゴ」の菅野美穂、「カノジョは嘘を愛しすぎてる」の相武紗季、「夏美のホタル」の工藤阿須加、「忘れないと誓ったぼくがいた」の早見あかり、「岸辺の旅」の奥貫薫、「真田十勇士」の佐藤二朗、「舞妓はレディ」の富司純子。音楽は「ボクは坊さん。」の平井真美子。
  • 映画評論家

    北川れい子

    “仏作って魂入れず”のことわざではないが、“恋妻家”なる言葉を作って、中身は脳天気な夫の空騒ぎ、こんな他愛ない脚本をよくもまァ、映画にしたもんだ。ひょっとしたら、製作にも名を連ねているあの電通側に、ドラマの人気脚本家の監督デビュー、のちのちのためにハナシはヤワでも協力を、ナンテ思惑が……!? 夫が料理教室に通う中学教師で、そこでの井戸端会議も、悩みを抱えた生徒のエピソードも実に薄っぺらで、『暗夜行路』と離婚届けの組み合せも、作者は鼻高々だろうが噴飯物。

  • 映画文筆系フリーライター、退役映写技師

    千浦僚

    映画全体にそれほど大きな影響を与えない一挿話で、アベちゃんをラブホに誘う菅野美穂がチラ見せした白桃のような胸乳が網膜に心地よく灼かれた。それはともかく、ヒッチコックの「スミス夫妻」を連想したりしつつ、横溢する好ましい遊びを楽しんだ。エンディングも好き。パッと思いつく前例は「時をかける少女」とか「ジャッキー・ブラウン」「40歳の童貞男」「私の優しくない先輩」、要するに登場人物がラストシーンの続きのまま歌うのだが、これもっとみんなやればいいのに。

  • 映画評論家

    松崎健夫

    問題を抱えながらも妄想が先走り、なかなか本音で問いただせないという主人公の姿。この映画は「言いたいことが言えなくなってきている」傾向にある、現代日本そのものを描いているようにも見える。「不満はないけれど不安はある」という台詞が示すように、本作では軋轢を避けないことも提言してみせている。終盤では「言いたいことを言う」ことで、夫婦関係が修復されてゆくように見えるが、実は「もともと壊れてもいなかった」という点もまた現代日本の抱える病理とどこか似ている。

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