君の名は。の映画専門家レビュー一覧

君の名は。

「言の葉の庭」の新海誠によるオリジナル長編アニメ。山深い田舎町に暮らす女子高生の三葉は、ある日、自分が東京の男の子になる夢を見る。一方、東京で暮らす男子高校生の立花瀧も、行ったこともない山奥の町で自分が女子高生になっている夢を見ていた……。キャラクターデザインを「心が叫びたがってるんだ。」の田中将賀、作画監督を「思い出のマーニー」の安藤雅司が務め、音楽をロックバンドRADWIMPSが担当する。声の出演は「太陽」の神木隆之介、「舞妓はレディ」の上白石萌音。
  • 映画評論家

    北川れい子

    別々の時空間で、ずっと誰かを何かを探している高校生の男子と女子。2人は出合うことなく相手と出合い、出合わないのに相手の存在に気がつく。何やらヤヤコシい言い回しになってしまったが、思春期特有の“なりたい願望”をベースにした本作は、宇宙の神秘まで取り込んでリアルに着地する。とはいえ途中、こちらの飲み込み方がワルかったのか、未消化なところも。が、繊細で美しい絵と、2人のキャラクターを観ていると、それだけで心地よくなり、新海アニメに流れる時間は格別だ。

  • 映画文筆系フリーライター、退役映写技師

    千浦僚

    良い。「アベンジャーズ」「マン・オブ・スティール」等を観るとアメリカ人がほんとに9・11に傷ついたんだと思う。破壊の残像を、懸命に正義への戦いと最終勝利へと意味づけようとしていた。本作や「シン・ゴジラ」は日本人の3・11体験にとってのそれだ。皆があれに対して、戦い、人を救いたかったのだ。やっとそれを「お話」にできた。かつてカイル・リースはサラ・コナーに言った。「あなたを守るために、時を越えてやってきたんだ」と。本作からその声が聞こえた。

  • 映画評論家

    松崎健夫

    中学の頃、親友が〈黄昏〉の由来について話していた。〈たそがれ〉は、元々〈たそ、かれ〉で、〈誰、彼〉なのだ、と。薄暮であるから相手の顔がよく見えない。そこで「あなたは誰?」と相手に訊ねるのだ。このことは「君の名は。」というタイトルと共鳴している。そして「あなたは誰?」が示す意味を変化させながら、全篇にわたる伏線ともなっている。さらに、現代に生きる我々の現実と地続きの世界を描くことで、現実にはあり得ない“希望”を描くことの意味をも考えさせるのである。

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