モンスター・ホテル2の映画専門家レビュー一覧

モンスター・ホテル2

モンスターたちが集うホテルを舞台にしたコメディアニメの続編。ホテルのオーナーであるドラキュラが、娘と人間との間に生まれた孫をモンスターとして育てようとして騒動を引き起こす。監督は前作に引き続きゲンディ・タルタコフスキー。ドラキュラの声を担当する「再会の街で」のアダム・サンドラーが、製作総指揮や脚本にも参加している。日本語吹替版では、「攻殻機動隊」シリーズの山寺宏一、「私のやさしくない先輩」の川島海荷、お笑いコンビ『オリエンタルラジオ』の藤森慎吾が続投するほか、ドラキュラの父の声を怪談家や工業デザイナーとして活躍する稲川淳二が担う。
  • 映画監督、映画評論

    筒井武文

    ううむ。人間とモンスターが仲良くなって(怪物が擬人化されて)、何が面白いのか。実際、人間の男とドラキュラの娘の結婚式から始まり、生まれた男の子を、人間として育てるか、吸血鬼として育てるか、というドラキュラ父娘の争いが描かれるが、少なくとも、アニメーション表現では、人間と怪物の差異はないに等しいわけだから、混血児がどちらだろうと構うまい。ユニヴァーサル・ホラーの偉大な伝統が、こう貶められているのは(台詞で自己言及もあるだけに)、悲しい限り。

  • 映画監督

    内藤誠

    第1作では城を人間たちに焼かれて、愛妻を失ったドラキュラ伯がモンスターたちを人間から守るためにホテルを作り、フランケンシュタインなどの妖怪キャラクターが次々に集まってくるテンポがよかった。愛する娘がヒッピーまがいの人間に恋して大騒動になるのがおかしく、好評につき、続篇ということになったわけだ。モンスターの娘が人間と結ばれた結果、生まれてくるドラキュラ伯の孫は、人間かモンスターかという風変りな物語が展開。絵や音響に質感があるので、今回も楽しめた。

  • 映画系文筆業

    奈々村久生

    人間とモンスターの間に生まれた子どもをめぐるドラマは、同一民族や血縁をベースにした家族制度の限界に言及する上で、非常に今日的で可能性のある設定である。生まれてきた孫にドラキュラの血を求める祖父のキャラクターは自分の遺伝子に対する男性の業の深さを物語り、また彼以上に考え方の古い曾祖父の登場は、まさに血は争えないといったところ。フォーマットはポップなアニメなのに土着の泥臭いホームドラマの匂いがぷんぷんする。その結末まで懐古主義になっていたのが残念。

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