バーニング・オーシャンの映画専門家レビュー一覧

バーニング・オーシャン

2010年メキシコ湾に大量の原油が流出した海底油田爆発事故を「ローン・サバイバー」の監督・主演コンビで映画化。人為的ミスが重なり、海底油田掘削作業中に逆流してきた天然ガスに引火し大爆発が発生。火に包まれながら、作業員たちは決死の脱出を図る。主演のマーク・ウォールバーグは製作も務めている。ほか、「ヘイトフル・エイト」のカート・ラッセル、「RED」シリーズのジョン・マルコヴィッチ、「私だけのハッピー・エンディング」のケイト・ハドソンらが出演。第89回アカデミー賞視覚効果賞および音響編集賞にノミネートされた。
  • 翻訳家

    篠儀直子

    「タワーリング・インフェルノ」みたいな話だが、オールスター映画ではないので群像劇にはならない。事故が起きるまでのクロスカッティング・シークエンスが異様に長いから異様に怖さがつのり、いざ事故が起きると、待たされただけのことはある猛烈なスペクタクルがこれでもかとつるべ打ち。正直、どこで誰が何をやっているのかわからないショットも多いのだが、巨大セットを実際に建設した迫力は相当のもので、闇を引き裂いて次々ほとばしる炎のエネルギーを鑑賞しているかのよう。

  • 映画監督

    内藤誠

    2010年、メキシコ湾に流出した環境汚染の映像はいろいろ見たけれども、ピーター・バーグ監督の狙いは、その事故発生の原因と具体的経過を劇化することにある。個々のエピソードに重点を置いているので、ドキュメンタリーの映画時間とは一致していないと思うが、美術スタッフが造形したディープウォータ・ホライゾンが緻密なので、観客は火災の現場を見ている気分になる。カネのために、作業する人間を追い詰め、人災事故をつくる資本家側の代表者マルコヴィッチが悪夢のように怖い。

  • ライター

    平田裕介

    あくまで実録ドラマに徹しており、それゆえに嫌な奴が酷い死に様を見せるみたいな因果応報な盛り付けはしていない。かといって、事故を起こした企業を強く批判するわけでもなし。死屍累々なパニック映画好きからするとちょっとアレなのだが、その不満を吹っ飛ばすのが事故描写の数々。泥水、原油、火炎、爆風が一緒くたになった果てに石油掘削施設が崩落するさまは実際の事故映像よりもエグめにした点は買いたい。実録ものが続くP・バーグだが、この路線で今後も行くつもりなのか。

1 - 3件表示/全3件

今日は映画何の日?

注目記事