PARKS パークスの映画専門家レビュー一覧
PARKS パークス
2017年5月に開園100周年を迎える東京・井の頭恩賜公園を舞台にした青春群像劇。亡き父親の元恋人・佐和子を捜しているという高校生ハルと知り合った女子大生の純。佐和子の孫トキオから彼女が既にこの世を去ったことを聞いた二人は、ある遺品を手渡される。出演は「バースデーカード」の橋本愛、「俺物語!!」の永野芽郁、「海賊とよばれた男」の染谷将太、「エミアビのはじまりとはじまり」の森岡龍、「なりゆきな魂、」の佐野史郎。監督・脚本は「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」の瀬田なつき。撮影は「ディストラクション・ベイビーズ」の佐々木靖之。音楽監修は「HOMESICK」のトクマルシューゴ。
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映画評論家
北川れい子
「ラ・ラ・ランド」ならぬ「パ・パ・パークス」。作品には恵まれていないがいつも気になる橋本愛が、構えず、気取らずのスッピン的演技で、井の頭公園を自転車や徒歩で往き来、緑に日の光、風、池etc.それだけで心地良い。……のは事実だが、彼女が過去探しを手伝う羽目になる少女の登場はいいとして、その過去の再現が安手のメロドラマもかくや。遺されていたテープの楽曲も、どこがいいのやら。時代を考慮しての演出と映像なのだろうが、何やらここだけ「ホ・ホ・ホラー」のよう。
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映画文筆系フリーライター、退役映写技師
千浦僚
米映画「はじまりのうた BEGIN AGAIN」を観たときとても楽しんだが、こういうの、つまり、女優が立派に歌って音楽を感じさせてくれること、街と音楽を一体のものとして描くこと、商業性とポップさへの強迫に断固とした意志としなやかな身のこなしで抗うことなどは日本映画ではできないだろうと考えたが、それは本作によって覆された。観ていて心地よい。出演者が表現する若々しさが輝いている。瀬田監督は少し自己模倣のサイクルにあるがこれならばまだ数本はそれでいい。
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映画評論家
松崎健夫
井の頭公園100年という希有なお題。そして舞台は公園内という縛りの中、観客の興味を引くはずもないような題材を魅力的なものにした構成の妙。更に“空間を超越する”という瀬田なつき監督の作家性をも担保。またともすれば、つまらない脇役になっていたかも知れない女子高生役に命を吹き込んだ永野芽郁の演技アプローチも秀逸。本作は公園映画であり、音楽映画でもあり、もちろん青春映画でもある。多様な人々が集う憩いの場を描くには、このくらい豊潤で丁度いいのかも知れない。
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