西遊記 ヒーロー・イズ・バックの映画専門家レビュー一覧
西遊記 ヒーロー・イズ・バック
伝奇小説『西遊記』を新解釈し、2015年に中国で中国制作アニメ歴代1位の興行収入をあげた3DCGアニメ。修行中の孤児リュウアーは妖怪に襲われていた赤ん坊を助けようとして五行山に迷い込み、お釈迦様に封じ込められていた孫悟空を偶然目覚めさせる。長年3Dアニメ制作に携わってきたティエン・シャオポンが、8年の歳月をかけ本作を作り上げた。東京アニメアワードフェスティバル2016コンペティション部門長編アニメーション優秀賞受賞。日本語版の製作総指揮を「コクリコ坂から」の監督・宮崎吾朗が手がける。
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翻訳家
篠儀直子
運動の連続だけで成り立っている驚くべき映画。めまぐるしくて何が起きているかわからなくなる箇所もあるし、こんな単純な話なのになぜ脚本に穴があるのかと首をかしげたりもするけれど、そんなことがどうでもよくなるくらい、躍動感あふれる見事な運動と、色彩豊かな背景美術(動植物の質感の素晴らしさ!)に、目を奪われているうちにたちまち時間が過ぎる。キャラクターデザインも親しみやすいが、これは日本のアニメの影響が強いからかもしれない。長身で二枚目の悟空が新鮮。
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映画監督
内藤誠
孫悟空が五百年の長い眠りから覚めたばかりの物語で、ご存じの三蔵法師との道中記ではない。悟空はいかにして、われわれの愛する存在になったかという話なのだが、遠近感があり、大小のメリハリのついた絵のディテールもよく、カンフーアクションも派手なので、見入ってしまう。猪八戒などの表情や動きは児童にも受けるコミックさだが、敵役の「混沌」と配下の女妖怪は、いささか大人向けのあやしさ。悟空とともに活躍するリュウアー少年が長じて三蔵法師になる次回作がたのしみ。
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ライター
平田裕介
とにかくアクションが異常に速く、なにが起きているのか、なにが映っているのか判断できないこと多し。ドタバタする場面もやりとりがしつこいうえに、各キャラのちょっとした表情をいちいち拾うので観ていて疲れる。孫悟空の体型や顔つきがえらくシュッとしており、頭にはめている輪“緊箍児”がブレスレット型になって腕にはめられているなど、なにかと当世風になっているのは面白い。しかし、悟空にくっついて結構な高さから落ちたり、吹っ飛ぶ主人公の少年は脳挫傷で死ぬと思う。
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