KARATE KILL/カラテ・キルの映画専門家レビュー一覧

KARATE KILL/カラテ・キル

「女体銃 ガン・ウーマン」などで注目を集める光武蔵人がメガホンを取ったアクション。留学中に行方不明になった妹を救出するため、空手の達人ケンジが、テキサス州の辺境地帯に潜むカルト集団に戦いを挑む。主演は「少女は異世界で戦った」のハヤテ。空手の師範で、パルクールコーディネーターとしても活躍する彼が、そのパフォーマンスを存分に披露。共演は「エターナル・マリア」の紗倉まな、「女体銃 ガン・ウーマン」の亜紗美、「リザとキツネと恋する死者たち」のデヴィッド・サクライ、「ムカデ人間」の北村昭博。
  • 映画評論家

    北川れい子

    光武蔵人作品といえば「女体銃 ガン・ウーマン」にはシビレた。銃を仕込んだ自分の肉体を武器に、組織に挑むヒロイン。その前の作品「サムライ・アベンジャー/復讐剣 盲狼」も、武士道風味の無国籍アクションとして小気味いい作品だった。今回もB級アクションの王道をいく作品ではと期待したのだが、残念、ロスで妹探しをする主役のハヤテが顔も体も少年っぽく、特技は殺人空手でも、いまいち影が薄い。いろいろ用意された危険な見せ場もだから妙にウソっぽく、悪役ばかり目立つ。

  • 映画文筆系フリーライター、退役映写技師

    千浦僚

    不要なキャメラの動きや、「女体銃」に比較して緊密度の後退と思われる部分もあるが、格闘の、素手で人を殺す殺伐をこそフィーチャーする本作の志は高く評価する。男色の剣術使いは漫画『カラテ地獄変』リスペクトか。そう、たったひとりの牙直人あるいはヤング大東徹源を実写映画に招来するだけで、観客の内臓を貫手でえぐるインパクトが可能だ。本作の、千葉真一「殺人拳」あたりや洋画「TNTジャクソン」、近年作品なら「ザ・レイド」と同じベクトルを睨む、その意気や良し。

  • 映画評論家

    松崎健夫

    本作はタイトルに〈空手〉と銘打たれているが、実のところ〈西部劇〉の体を成しているだけでなく〈イタリア製西部劇〉=〈マカロニウェスタン〉の文脈に則っている。「アメリカに単身乗り込む日本人が西部の荒野を訪れる復讐劇」という発想は、まさにマカロニ的。必殺技で敵を仕留める設定は、香港の功夫映画的であり、同時にマカロニ的でもある。白人VSアジア人というショーダウン(対決)をクライマックスとする理由も、わざわざ異国アメリカの砂漠を舞台とするのもそのためなのだ。

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