笑う101歳×2 笹本恒子 むのたけじの映画専門家レビュー一覧

笑う101歳×2 笹本恒子 むのたけじ

日本初の女性報道写真家・笹本恒子と戦前からの新聞記者・むのたけじに焦点をあてたドキュメンタリー。笹本の写真とむのの言葉、二人の証言を交えながら、激動の時代に人々の日常に寄り添い、100歳を超えてなお現役を続ける二人の自由な生き方に着目する。監督はNHKディレクターとして数々のドキュメンタリー番組を送り出し「天のしずく 辰巳芳子“いのちのスープ”」「大津波 3.11 未来への記憶」で劇場映画も手がけた河邑厚徳。「天のしずく 辰巳芳子“いのちのスープ"」に続き谷原章介が語りを務める。劇場公開に先駆け、第29回東京国際映画祭にて特別上映された(上映日:2016年11月1日)。
  • 評論家

    上野昻志

    むのたけじは、戦後、週刊新聞『たいまつ』を自力で刊行していた硬骨のジャーナリストとして知っていたが、日本で最初の女性報道写真家である笹本さんについては、ほとんど知らなかったので、その点は、興味深く見た。とくに、彼女が撮った女性たちの写真。たとえば、アリの街のマリアと慕われながら若死にした北原怜子、また、『明治の女たち』という写真集に収められた鈴木真砂女や阿部なをなど。むのたけじは、早稲田の学生とのトークと、肺炎で倒れたあとの顔が印象深い。

  • 映画評論家

    上島春彦

    現役最長老のジャーナリスト二人の今を記録する、というのは悪くないが、それだけ。関係者向けを超えるものではないので星伸びず。ひょっとすると両者の対談が目玉だったのかもしれないが、期待したほどには盛り上がらなかった、ということなのか。映画の出来はともかくとして、年長者が元気なのは良いことだ。一方若い人たちは大したことない。これも不満の理由である。むしろ監督なり、あるいは誰か別な若いジャーナリストを立てるなりして、の現代老人論を展開するべきだったのか。

  • 映画評論家

    モルモット吉田

    来年からの40代を生きていく自信が全くない筆者など想像の及ばない世界だが、年齢と精神は一致しない。両者とも問いかけられると瞬時に質問の意図を理解して考えを整理して明瞭に話しだす。過去がくっきりとディテールを持って懐古調になることなく今を生きる視点で語られることに感嘆。国家と個の間で生きた2人の言葉は曲がり角に来た今、より強く響く。映画について書く世界も他人事ではない。津村秀夫みたいに国家の手先となって戦争協力するタイプだなと思う人は既にいる。

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