ブレードランナー 2049の映画専門家レビュー一覧

ブレードランナー 2049

リドリー・スコット監督作品「ブレードランナー」の続編。前作の30年後にあたる2049年のカリフォルニア。違法レプリカントを取り締まるブレードランナーのKは、人類の存亡に関わる巨大な陰謀と、その闇を暴く鍵となる男デッガードの存在にたどり着く。監督は、「メッセージ」のドゥニ・ヴィルヌーヴ。出演は、「ラ・ラ・ランド」のライアン・ゴズリング、「スター・ウォーズ フォースの覚醒」のハリソン・フォード、「ワンダーウーマン」のロビン・ライト、「スーサイド・スクワッド」のジャレッド・レト、「スクランブル」のアナ・デ・アルマス。
  • 翻訳家

    篠儀直子

    ヴィルヌーヴだからこちらも期待が大きくなり、もっといろいろ深められたのではと思ってしまう。とはいえ、ディーキンズが実現する瞑想的な画面と、明滅するホログラフ映像と極端な音響が表現するノイジーな不安定さは、どんな言葉よりも多くのものを喚起。デ・アルマスの演じる役が、この物語世界のなかで持つ意味についても考えてみたくなる。次作は『砂の惑星』だそうで、このままだとSF大作専門の監督みたいになってしまいそうだけれど、それは果たしていいことなのかどうか。

  • 映画監督

    内藤誠

    続篇が見たいという期待に、充分こたえた出来ばえ。荒廃したロサンゼルスの市街や廃棄物処理場の光景など、美術、撮影、照明が目を見張る。ポップでありながら色彩は渋い。主人公ライアン・ゴズリングの苦悩も近い未来を予測して、よく分かる。レプリカントにどうしても感情移入してしまうのは、人間のエゴイズムが蔓延する世界の反映だろうが、ラスベガスの廃墟で、プレスリーやシナトラの立体映像を見ながら、ひとり酒を飲むハリソン・フォードを、そっとしておいてやりたくなった。

  • ライター

    平田裕介

    乱暴な言い方だが、雰囲気に浸り、映るものすべてのディティールに目を凝らすことを楽しむSFだった前作。そこで勝負しても勝てないと踏んだのか、ドラマ重視の作りに。妙に難解にすることなく、前作から続く“人間”や“アイデンティティー”というテーマをしっかりと深化させているのがミソ。だからといって答え合わせどころか、以前からの謎を増幅、新たな謎を投入している部分もあり、一見スッと入り込めるようでかなりの深淵度を誇ってもいる一筋縄ではいかぬ作品ではある。

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