斉木楠雄のΨ難(さいなん)の映画専門家レビュー一覧

斉木楠雄のΨ難(さいなん)

多彩な超能力を持つ高校生・斉木楠雄と個性の強い同級生たちが騒動を繰り広げる異色ギャグ漫画を、「銀魂」の福田雄一監督が映画化。超能力を隠し学校生活を送る楠雄だったが、文化祭を迎え同級生たちが呼ぶ災難に次々に巻き込まれ、地球滅亡の危機に瀕する。生まれながらに様々な超能力を持つ主人公を「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」の山﨑賢人が演じるほか、「銀魂」の橋本環奈、「葛城事件」の新井浩文らが出演。
  • 評論家

    上野昻志

    この作りは、何かに似ていると感じ、ああ、あれかと思い当たったのは、テレビのお笑い番組だ。そこでは、誰かの発言に別の誰かが突っ込みを入れて笑いを呼ぶ。楠雄(山﨑賢人)の気を惹こうとする照橋(橋本環奈)の思い込みに対する彼の突っ込みなどは、まさにそれ。いまじゃ、これがお笑いの常道か!? 動きを含めた芸で笑わせる喜劇も、遠くなりにけりか。この映画で唯一可笑しかったのは、楠雄の超能力で、高校生が次々と石像になり、兵馬俑のようになる場面だったけどね。

  • 映画評論家

    上島春彦

    コンセプトの勝利。文化祭を穏便に過ごす、そのためだけに超能力者が大活躍という物語を誰でも可笑しいと思えるか、他人事ながら心配だが私はノッたね。「うる星やつら2/ビューティフル・ドリーマー」を思い出す人もいるだろう。ムロツヨシのマジシャンの使い方もいい。よく考えたら彼の演出に引っかかったのは主人公の方なのだ。ポーカーフェイス少年と腹黒い美少女の取り合わせも最上。両者の心の声バトルみたいな構成と、クライマックスで宇宙物にスケールアップ、これが楽しい。

  • 映画評論家

    モルモット吉田

    これまで映画では空転しがちだった福田演出が「銀魂」で初めてフィットした感に喜んだのも束の間、また退屈なクスリとも笑えない映画に戻ってしまった。主人公が常に相手の一挙手一投足にツッコミを入れていくので間延びしてしまい、90分代でも長く感じる。漫画なら読み流せばテンポは落ちないが、画一的に編集するだけでは一本調子になる。乱調の美を体現するのがムロツヨシのみでは辛い。毎度ながら脚本家が書いたものを演出でアレンジする方が向いている監督に思えるのだが。

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