家族はつらいよ2の映画専門家レビュー一覧

家族はつらいよ2

「東京家族」の出演陣が再集結し家庭内の悲喜こもごもを演じた、山田洋次監督の喜劇続編。離婚騒動から数年後、父・周造の運転免許の返納をめぐって家族会議が開かれることに。しかし周造が家に泊めていた旧友・丸田が息を引き取っており、大騒動が起きる。前作からの出演陣に加え、「青天の霹靂」の劇団ひとりや、藤山寛美の孫にあたる藤山扇治郎らが新たに参加。
  • 映画評論家

    北川れい子

    安心して笑って、安心してハラハラし、安心してアキレて、安心してホッとして……。山田コメディの安心、安全、安定感は、どんなにキツい世相を盛り込んでも深刻になる寸前に笑いの差し水が入り、いまさら言うのもなんだが、名人としか言いようがない。このシリーズは退職して悠々自適の生活を送る橋爪功の頑固ぶりをメインにして騒動が起こるだけに、かなり保守的だが、子どもたち夫婦が集まってのワイワイ、ガヤガヤのアンサンブル演技など、全員の息が合ってみごと。次回は孫の話を。

  • 映画文筆系フリーライター、退役映写技師

    千浦僚

    登場人物の一家が不快。その彼らを見て、実につまらないところで笑う、喜劇だから笑わねば、みたいな試写室観客がいやだった。彼らを憎んだ。相当に恵まれてる生活をしてるのに不満ばかり言い合っている家族の醜悪さ。逆「ワイスピ」一家め。だがおじいちゃん橋爪功の高校の同級生小林稔侍が貧困独居老人として現れてから俄然面白くなる。稔侍、あいつら全員殺っちゃってよ!……しかし稔侍は殺らず、独り死んだ。無念。生活保護は当然の権利、という訴えかけは素晴らしいです。

  • 映画評論家

    松崎健夫

    劇中〈前近代的〉という言葉が登場する。世界の映画監督たちが血縁関係に依らない家族関係を描く中、山田洋次監督は“三世代同居”のような〈前近代的〉家族像を描きつつ、〈前近代的〉な古びた“笑い”を誘発させている。しかし〈前近代的〉な家族そのものを描こうとしているわけではなく、前近代的価値観と現代的価値観との衝突や、無縁社会や下流老人の現実を提示してゆく。本作は、かつて近代社会を支えた人々の老いを描くことで、現代日本の病理を“笑い”で炙り出している。

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