マン ・ダウン 戦士の約束の映画専門家レビュー一覧

マン ・ダウン 戦士の約束

「陰謀の代償 N.Y コンフィデンシャル」のディート・モンティエル監督が、戦争がもたらす傷を描写した戦争ドラマ。海兵隊員ガブリエルがアフガニスタンの戦場から帰還したところ、故郷はまるで異世界のように荒廃し、妻子も街の人々も姿を消していた。主人公の帰還兵を「フューリー」のシャイア・ラブーフが、彼と行動を共にする友人を「スーサイド・スクワッド」のジェイ・コートニーが、アフガニスタンに駐留する大尉を「裏切りのサーカス」のゲイリー・オールドマンが演じる。
  • 翻訳家

    篠儀直子

    時系列を複雑化させ、いくつかの謎の探究へと観客を駆り立てる。こういう構成は、下手にやると謎が解けた途端に観客が興味を失ってしまう危険性があるが、一つ一つの画面の切り取り方が尋常ではない素晴らしさで、視線演出もきっちりやっていて、クライマックスの盛り上がりはもはや力業。独創的で魅力的な色彩設計の意味も、謎解きの過程でわかってくる。シャイア・ラブーフが、彼の力量と持ち味を完璧に活かした当たり役で必見。カウンセラー的役割を果たすG・オールドマンもいい。

  • 映画監督

    内藤誠

    アメリカ人の生活に憧れた時代も過ぎ去り、とりわけ9・11以後はテロとの闘いという正義の名のもと、イラクやアフガニスタンへ兵士として送りだされる者の周辺が辛い。イーストウッド「アメリカン・スナイパー」のヒーローは戦地から帰還し、PTSDを発症した男に殺されたのだが、シャイア・ラブーフが演じるこの映画の主人公も帰国後、ホームレスとなり、かつて愛したものにも妄想を描く。その描写が哀しく切ない。彼のカウンセリングをするゲイリー・オールドマンの対応がリアル。

  • ライター

    平田裕介

    その設定、展開、雰囲気から傑作「ジェイコブス・ラダー」やアン・ハサウェイの方の「パッセンジャーズ」みたいな“実は死んでいました”系のオチかと予想しつつ鑑賞。と思ったら、かなり意外な方向へと突き進み、イラク、アフガンからの米帰還兵が置かれた深刻な窮状をガツンと突きつけて幕を閉じる。その姿勢も実力派たちが繰り出す力演には魅せられるものの、主人公が目の当たりにする廃墟と化した故郷の町の造形がDVDスルーのチープなディストピアSFっぽくて少し萎えてしまった。

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