いぬやしきの映画専門家レビュー一覧

いぬやしき

「GANTZ」の佐藤信介監督が、同作の原作者・奥浩哉の漫画を木梨憲武×佐藤健主演で実写化。謎の事故に巻き込まれ、超人的な能力を得た初老のサラリーマン犬屋敷壱郎と高校生・獅子神皓。犬屋敷は人を助けることに奔走する一方、獅子神は悪事に手を染めていき……。共演は「鋼の錬金術師」の本郷奏多、「リバーズ・エッジ」の二階堂ふみ、「グッモーエビアン!」の三吉彩花、「もういちど」の福崎那由他、「愚行録」の濱田マリ、「三度目の殺人」の斉藤由貴、「新宿スワン」シリーズの伊勢谷友介。脚本を「映画 ビリギャル」の橋本裕志、音楽を「チア・ダン 女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話」のやまだ豊が務める。
  • 映画評論家

    北川れい子

    オレが悪役で、ジジイがヒーローかよ、と憮然顔の佐藤健。その通り、荒唐無稽な設定だが、全国のおやじたちがくすぐられるに違いない正義のスーパーおやじの登場だ。前半はドラマで引っ張り、後半はCGのド派手な破壊アクションを連打、そのぶっ壊しぶりは「シン・ゴジラ」を連想させるほど。しかも都庁をメインにした新宿周辺が舞台だけに、尻がムズムズするような爽快感もある。木梨憲武の起用も大成功で、いかにものショボイおやじの奇跡の変身は、そのシワまでもカッコいい。

  • 映画文筆系フリーライター、退役映写技師

    千浦僚

    映画「GANTZ」で原作にある新宿の銃乱射をやらなかったことへの文句を五万回ほど言ってるうちにやってきた「いぬやしき」。これはよかった。原作漫画のポテンシャル、「アイアンマン」+「太陽を盗んだ男」みたいなものがちゃんと出てた。メインキャラ二人のガジェット的には「アイアンマン」。佐藤健が熱演した獅子神の気分的には「太陽を盗んだ男」。個人が世界に対峙しうる圧倒的な武力を持つ姿にかの名台詞“俺は9番”の感覚がかぶった。木梨憲武の主演もはまってた。

  • 映画評論家

    松崎健夫

    凄腕であることを見せるのではなく、しょぼくれ具合を見せる映画冒頭。木梨憲武演じる犬屋敷と、やがて復讐の鬼と化すことで悪の魅力を放つ佐藤健との対比を生み出す由縁になっている。新宿歌舞伎町や都庁などで実際にロケを敢行した映像やドローンの恩恵を受けた空中戦など、VFXだけに頼らない演出も本作の魅力。自主映画時代から「何かに巻き込まれてゆく人」の姿を描いてきた佐藤信介監督にとって「何かに巻き込まれてゆく人」を描いた奥浩哉の漫画は相性が良くて当然なのだ。

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