ドッグ・イート・ドッグの映画専門家レビュー一覧

ドッグ・イート・ドッグ

エドワード・バンカー原作の同名ハードボイルド小説をニコラス・ケイジ主演で映画化。長年の刑務所勤めを終え、仲間二人と再会したトロイ。地元ギャングのボスから、ある男の赤ん坊を誘拐する仕事を引き受けた3人だったが、事態は思わぬ方向へ転がり出し……。監督は「ラスト・リベンジ」に続き、ニコラス・ケイジとは2度目のタッグとなるポール・シュレイダー。共演は「ジョン・ウィック」のウィレム・デフォー、TV『ウォーキング・デッド』のクリストファー・マシュー・クック。ポール・シュレイダー監督自身もギャングの首領役で出演。
  • 翻訳家

    篠儀直子

    死体を上まで持っていったはいいが、途端にゴミ溜めに落っこちて、おまけに血糊に足を取られてずるずる滑るというシーンがまさに象徴的なクライムドラマ。モチーフの反復やロングショット主体の画面の連鎖も端正で気持ちよく、美しくも奇妙なラストシーンも素晴らしい。さりげない引用に満ちた「作家の映画」だけれど、オフビートに見えながら意外にテンポがよくて、普通に娯楽作として楽しめる。手を替え品を替えテイラー・スウィフトに言及されるのも、意味は判らないけど可笑しい。

  • 映画監督

    内藤誠

    P・シュレーダー演出は冒頭からコカイン中毒のマッド・ドッグことウィレム・デフォーが太った同居人の女をヘンタイ的に惨殺する場面をサイケデリックに映像化。どうなることかと思わせる。このハイテンションはさすがに維持できず、刑務所で知り合ったニコラス・ケイジと巨体のクリストファー・マシュー・クックの三人組が金儲けのために悪事を働くメインの物語になると、だれる。それよりも原作者エド・バンカーの人生を反映した主人公ケイジの人物像や育ち方を描いてほしかった。

  • ライター

    平田裕介

    原作のヒリついた雰囲気、三度目の有罪判決で無期懲役になる“三振法”に対して抱く前科者の不安みたいなものは薄味に。だが、裏社会でのたうち回るしかなく、あがくたびにドツボにはまる小悪党どもの哀れみといった妙味はしっかりと抽出。それを濃縮還元した悲喜劇に仕上げている。常時ハイ・テンションなうえに随所で遊んでいるP・シュレイダーの演出も快調。笑っていたかと思えば急に笑い出すor怒リ出す、まさにジャンキーなワルに扮したW・デフォーがなにかとさらっていく。

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