ヘッド・ショットの映画専門家レビュー一覧

ヘッド・ショット

「ザ・レイド」で世界的に注目を集めたイコ・ウワイス主演のアクション。頭部に銃弾を撃ち込まれ、記憶喪失の状態で海辺に流れ着いた男“イシュマエル”。女医アイリンの治療によって回復した彼の命を狙って、犯罪組織が次々と刺客を送り込んでくる……。監督はティモ・ジャイアント&キモ・スタンボエルの2人組ユニット“モー・ブラザーズ”。
  • 翻訳家

    篠儀直子

    冒頭の脱獄シーンで「くどいよ……」と思ったのに、しまいにはそのくどさを受け流せるようになってしまっているのだから人間の順応力は恐ろしい(?)。画面に登場した途端にみなかたっぱしから死んでいくという勢いで、ある種の韓国映画を極端にした、またはある種のボリウッド映画からミュージカルシーンを省いてバイオレンスでびしょびしょにした、みたいな感じ。上手い演出と、異様に素人っぽい演出とが混在し、キッチュな場面がてんこ盛り。カルトな人気を獲得するタイプの映画。

  • 映画監督

    内藤誠

    いま、インドネシア映画に元気があるという評判通り、冒頭から派手なアクションが始まるや、最後まで監督のモー・ブラザーズも主演のイコ・ウワイスもやる気満々、手を抜かないので、娯楽映画ながら肩に力が入ってしまう。女優の格闘技も志穂美悦子ばりですごい。凶悪な暴力を構成する要員は子どもたちを誘拐してきて育て上げるという仕組みだが、記憶喪失したイコがそのことを思い出すという構成で、この国の地方の風景のなかで撮影されると実にリアリティがあり、恐ろしく見える。

  • ライター

    平田裕介

    取調室の机に鎖で繋がれたままでの立ち回りを筆頭に、イコ・ウワイスの体技はますます絶好調。モー・ブラザーズも彼の超人的体技に負けてたまるかと、口に手を突っ込んでのアゴ裂き、エンドレスなパンチを受けて凹む顔面といった具合に、容赦なく人体を破壊させる。物語とは別に繰り広げられるそんな両者の激突に、いやおうなくヒートアップ。銃や刃物を取り入れた見せ場を連続させておいて拳VS拳で締める“わかっている”感、敵役サニー・パンが醸す尋常ならざる存在感も◎。

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