ジーサンズ はじめての強盗の映画専門家レビュー一覧

ジーサンズ はじめての強盗

アカデミー賞受賞俳優のモーガン・フリーマン、マイケル・ケイン、アラン・アーキン共演のコメディ。長年勤めていた会社の合併により年金を止められてしまったウィリー、ジョー、アル。彼らは慎ましくも幸せな余生のために、銀行のお金を奪おうとするが……。監督は、「WISH I WAS HERE 僕らのいる場所」のザック・ブラフ。製作は、「バーレスク」のドナルド・デ・ライン。脚本は、「ヴィンセントが教えてくれたこと」のセオドア・メルフィ。
  • 映像演出、映画評論

    荻野洋一

    まさにトランプ時代の風刺喜劇である。年金打ち切り、住宅ローンの不当な利上げなどで進退窮まった老人3人組が銀行強盗に打って出るわけだが、彼らに向ける作り手側の視線には慈愛と同情しかなく、これが凶悪犯罪だという認識は1シーンたりとも匂ってこない。“悪いのは銀行なのだから成敗してよし”だ。このニヒリズムは、社会の病巣が行くところまで行き着いた証左だろう。鼠小僧次郎吉は、最後には夥しい御用提灯に囲い込まれていった。はたしてジーサンズ3人組はどうか?

  • 脚本家

    北里宇一郎

    英国のダニエル・ブレイクさんと同様、米国のジーサンズも老後の金で四苦八苦。だけどこちらはカラリとしたコメディ・タッチで、ま、変型のドロボー映画の趣き。その手口もズサンというかユルユルだけど、お年寄りゆえにこちらもノンビリと眺めた。もう一押し二押しジーサンズが危機に陥るハラハラドキドキがほしかったという欲も。なんか全篇、お約束の展開で安心はできるが刺激不足の感が。とはいえ相変わらずお色気発揮(歌のサービスも)のアン=マーグレット姐御にはニヤニヤ。

  • 映画ライター

    中西愛子

    アウトローのクライム・ストーリーも、無邪気に楽しめなくなってしまった時代に、名優たちがガツンと挑んだ庶民派活劇。フリーマン、ケイン、アーキン、全員80歳越えのツワモノたちがタッグを組んで、打ち切られた年金分を取り戻そうと銀行強盗に出る。おとぼけ系コメディに終始するかと思いきや、なかなか凝ったディテイルが張り巡らされていて、着地点も粋(これ、原題はお洒落なんだけどな)。カッコいいジーサンはイーストウッドだけじゃないよね、としみじみ唸らされる。

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