DESTINY 鎌倉ものがたりの映画専門家レビュー一覧

DESTINY 鎌倉ものがたり

山崎貴が『三丁目の夕日』に続いて西岸良平のベストセラーコミック『鎌倉物語』を映画化。幽霊や物の怪が生息する鎌倉。ある日、この地で殺人事件が発生。ミステリー作家の一色正和は、犯罪研究の腕を買われ、警察から捜査への協力を求められるが……。出演は大河ドラマ『真田丸』の堺雅人、『とと姉ちゃん』の高畑充希。
  • 映画評論家

    北川れい子

    昭和的なキャラクターと、昭和のまんまの美術や小道具。シレーッとすれ違う魔物や妖怪も劇中の古都・鎌倉の町並の中では不自然ではなく、この辺の雰囲気作りが素晴らしい。江ノ電に乗っての黄泉の国への旅立ちも、ぬくもりと懐かしさがあり、旧き良き温泉宿が重なったような黄泉の国の家々も楽しい。丁寧な作り込みが映画を豊かにするのだと、つくづく思う。俳優陣も、背景と雰囲気にベストの演技で、どこか子どもっぽいのもいい感じ。大人こそが楽しめる愛すべきファンタジー。

  • 映画文筆系フリーライター、退役映写技師

    千浦僚

    優しい、良い感情を美しく描いているのだから文句をつける人間のほうが邪悪で間違っている、という域に達した作。スペクタクルでファンタジックな表現と、親子愛や夫婦愛、通い合う想いを描いていたことが良かった。VFXによる加工によって可能性を広げた映像が良かった。原作漫画の四頭身的人物像を芝居で表現した役者ら皆よかった。大概の問題は取るに足らない、と繰り返し、個的な愛に閉じることを歌う宇多田ヒカルの主題歌歌詞にゾッとさせられたのは私が未熟であるゆえ。

  • 映画評論家

    松崎健夫

    夫は妻に「鎌倉と東京は時間の進み方が違う」と説明する。つまり「鎌倉と黄泉の国も時間の進み方が違う」という対比になっているのだ。血縁関係に依らない〈疑似家族〉を描く作品が増えている昨今、この映画では血縁が重要な要素となっている。ともすれば前時代的な家族像なのだが、家へ帰ることを主軸にすることで、本作は〈疑似家族〉を描いた作品群に対する〈家族回帰〉という対比にもなっている。そして、あの世とこの世を繋ぐレールを走る電車は、人生をも想起させるのである。

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