ミックス。の映画専門家レビュー一覧
ミックス。
「くちびるに歌を」の新垣結衣と「殿、利息でござる!」の瑛太がW主演を務めるロマンティックコメディー。恋と仕事に破れ田舎に帰ってきた元天才卓球少女の多満子。家族に見放された元プロボクサーの萩原と男女混合ダブルスを組み、再び卓球に挑むのだが……。共演は「はなちゃんのみそ汁」の広末涼子、「合葬」の瀬戸康史、「ピーチガール」の永野芽郁、お笑いコンビ『トレンディエンジェル』の斎藤司、「アズミ・ハルコは行方不明」の蒼井優、「海よりもまだ深く」の真木よう子、「ちょっと今から仕事やめてくる」の吉田鋼太郎、「疾風ロンド」の生瀬勝久、「うさぎ追いし 山極勝三郎物語」の遠藤憲一、「サバイバルファミリー」の小日向文世。脚本は「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズ、「探偵はBARにいる」シリーズの古沢良太。監督は「エイプリルフールズ」の石川淳一。
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映画評論家
北川れい子
ドラマ出身の石川監督の映画第1作は、今回と同じ古沢良太の脚本による「エイプリルフールズ」だった。薄っぺらで大袈裟なキャラたちが、嘘に追われて右往左往するドタバタ群像劇。で、今回は嘘の代わりに卓球を描いたスポコメ(コメディ)だが、脚本も演出もチャッチャッと話を運ぶだけ、笑いのレベルも人を馬鹿にしたような。卓球クラブに集まったメンバーのキャラや、終盤の選手権大会は「Shall we ダンス?」の線を狙ったのだろうが、俳優たちが上っ調子で達成感も薄い。
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映画文筆系フリーライター、退役映写技師
千浦僚
予備知識なしで試写を観ようとして、誰が出ているのかもポスタービジュアルでどんな映画なのかも知りたくない、と思っても、ああ見えてしまった! という日々のなかで観る前に完全に本作と「リングサイド・ストーリー」を混同。瑛太が売れない役者で、彼女のサトエリと別れる別れないを賭けてキックボクシングのリングに上がる(元卓球部ゆえに卓球ふう右フックが決め技)のが「リングサイド~」で(愚直な「ロッキー」オマージュ。良い映画)、元ボクサー瑛太が卓球するのが本作。
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映画評論家
松崎健夫
瑛太の演じる訳ありの男は、高速道路の高架建設現場で働いている。その光景に“未完成”という要素を暗喩させていることが窺える。高速道路建設には年月を要するが、徐々に完成へと向かってゆくもの。つまり、今は未完成でも、時が経てばいつか完成するのである。本作は卓球を通して「未完成でもいいのではないか?」と人生そのものについて語りかけているようでもある。そして何よりも、絶頂期にある新垣結衣の魅力は、全てを更地にしてしまうほどの破壊力を見せつけるのであった。
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