こいのわ 婚活クルージングの映画専門家レビュー一覧
こいのわ 婚活クルージング
「DEATH NOTE デスノート」の金子修介によるヒューマンドラマ。65歳・バツイチの元会社社長・門脇誠一郎は、第二の人生を歩もうと婚活を始める。最初のお見合い相手のナギは取材を兼ねて潜入した編集者で、二人は会って早々大喧嘩をしてしまう。出演は、「本能寺ホテル」の風間杜夫、「アイアムアヒーロー」の片瀬那奈。2017年11月11日より広島先行公開。
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評論家
上野昻志
婚活ね。なんとも後味の悪い『後妻業の妻』という映画もあったが、こちらは、広島県庁の結婚支援プロジェクトとやらに乗った企画らしく、ひたすら前向きで賑やかに装う。話の主線は、初対面からぶつかり合う男と女が、いかにして結ばれるかという古典的な恋愛談にあるが、それを瀬戸内海や対巨人戦で賑わう広島球場など、ご当地観光巡りで色づけた点がミソか。叩き上げの社長らしい泥臭さを漂わせる風間杜夫と、忠実なしもべ風の八嶋智人の秘書が、息の合った演技を見せる。
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映画評論家
上島春彦
広島の御当地映画。発明家のお金持ち老人が婚活三昧、というコンセプトで、風間杜夫を「わんぱく王子の大蛇退治」から知ってる私としても感慨深いものが。ついでに言うと「イルカに乗った中年」城みちるまで出現し、呆然。官民の協力態勢も万全で県民一般は大いに楽しめるはずだが野心的企画で全国制覇、というノリじゃない。むしろ「独身の皆さん、広島にいらっしゃいませんか」と言っているのかも。ガイダンス、あるいはカタログムーヴィーなのだ。監督の器用さが裏目に出たか。
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映画評論家
吉田伊知郎
量産体制にある金子修介だが、本作の様な地域振興系映画でも初老とアラサーの婚活を、奇をてらわない古典的なラブコメ構成と的確な演出によって充実した内容に作り上げる。往年の「どっちにするの。」で見せたノリは衰えず、こうした手腕は今や貴重――というより和製ロマコメは金子以降どうなっているのかと思わせる。女優を画面で華やがせる基本すら覚束ない映画ばかり観ていると、片瀬那奈の長い脚を美しく配置し、金子映画のミューズ・中山忍の登場にも安らぎを覚えたほど。
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