グレイテスト・ショーマンの映画専門家レビュー一覧

グレイテスト・ショーマン

「ラ・ラ・ランド」の音楽チームが楽曲を手掛けたミュージカル映画。19世紀半ばのアメリカ。興行師バーナムは型破りなショーを成功させるが、社会には認めてもらえない。そんななか、英国女王に謁見する機会を得たバーナムは、オペラ歌手ジェニーと出会う。出演は、「レ・ミゼラブル」のヒュー・ジャックマン、「マンチェスター・バイ・ザ・シー」のミシェル・ウィリアムズ、「ダーティ・グランパ」のザック・エフロン、「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」のレベッカ・ファーガソン、「スパイダーマン:ホームカミング」のゼンデイヤ。脚本は、「美女と野獣」の監督を務めたビル・コンドン。監督は、VFX出身のマイケル・グレイシー。
  • ライター

    石村加奈

    名声を求める夫に「愛を欲張らないで」と裕福な出自の、所謂身分違いの妻は言う。しかし他人の夢で喝采を浴びる虚しさに、夫はなかなか気づかない。雪の中、象にまたがる姿だってサマになる夫=ヒュー・ジャックマンの魅力で駆け抜ける華麗なるミュージカルだが、人生において夢を見る喜びと、生きていく上で足るを知る知恵、主人公が抱える相反するテーマについては、風呂敷を畳めず終わった感が拭えない。ザック・エフロン&ゼンデイヤの空中ダンスナンバーが最高にロマンチック。

  • 映像演出、映画評論

    荻野洋一

    19世紀に実在した興行師を中心に米国ショービジネス発生史をどんなふうに開陳してくれるのか期待すると、夢と家族愛の両立譚に終始し、肩すかしを食う。「ラ・ラ・ランド」組の楽曲群、Ch・ノーラン組デザイナーの美術が生彩を放つ。ミュージカルはそれさえ揃えば勝ったも同然と言いたいところだが、脚本は人物の描き込みが稚拙。「上流社会は高尚で退屈な芸術、庶民は楽しい見世物」という図式に囚われすぎ、逆に主人公が自由な精神の持ち主にまったく見えなかった。

  • 脚本家

    北里宇一郎

    あの「怪物団」の世界をミュージカルに仕立てたのかと胸がときめいた。下層階級から成り上がった男が、彼らとともに世間を騒がし、そして遂には喝采される。そこに絞り込めば、この作品、画期的だと思ったのだが。そうか、やっぱ家族愛に落ち着くのか。なんだか肝心要のところから眼を逸らされたような思いが残って。それより何よりも、ソング&ダンス場面のあわただしさ。CGの装飾も過剰の感が。演者の歌と踊りをじっくりキャメラで追う。そんなミュージカルは今では夢のまた夢?

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