5パーセントの奇跡 嘘から始まる素敵な人生の映画専門家レビュー一覧
5パーセントの奇跡 嘘から始まる素敵な人生
「白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々」のマルク・ローテムントが、奇跡の実話を映画化。将来有望な青年サリヤは、10代の時に病気で視覚の95%を喪失。それでも夢を諦めきれない彼は、目のことを隠して、一流ホテルで研修を始めるが……。出演は「誰よりも狙われた男」のコスティア・ウルマン、「ぼくらの家路」のヤコブ・マッチェンツ、「ノンストップ・バディ 俺たちには今日もない」のアンナ・マリア・ミューエ。
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批評家。音楽レーベルHEADZ主宰
佐々木敦
最近とにかく全世界的に多い、これまた実話を基にした作品(そういう映画ばかり日本公開されているという可能性もあるが)。主人公サリヤを演じるコスティア・ウルマンの美形ぶりに目を見張る。視覚障害を隠したまま一流ホテルマンを目指す彼の奮闘ぶりが、安易な派手さに流れない堅実なタッチで描かれていくのだが、ある意味、最初から展開も結末も見えているわけなのに、思いのほか波瀾万丈で、最後まで興味が持続した。あくまでも個人の物語で、障がい者を擁する社会の話ではない。
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映画系文筆業
奈々村久生
弱視によるハンデの具体性が曖昧。主人公目線のビジョン映像では、通常の距離感だとほぼ何も見えない状態に描かれているが、これでは日常生活もままならないのではと思われる中で、彼がホテルのスタッフとして修業していることがどれほどスペシャルなことなのかどうにもイメージしづらいため、題材が生かされていないように感じる。それなら仲間との連携プレーで不可能を可能にする側面をもっとクローズアップしても良かったのでは。同僚で親友のマックスがとにかくいい奴。
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TVプロデューサー
山口剛
5パーセントの視力というと全盲に近いのだろうが、成人してから未だ日の浅い主人公の、座頭市もかくやと思わせる動きには驚かされる。抜群の運動神経と記憶力の持ち主なのだろう。奇跡と言われる所以か。彼を支える家族、友人、同僚の愛情や善意が古き良き時代を彷彿させ、巧まざる現代社会への批判となっている。ホテル業界やスリランカ系家族の生活の裏話も面白く、一捻りしたハッピーエンドも余韻を残して終わり悪くない。新しいタイプのサクセス・ストーリーだ。
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