オレの獲物はビンラディンの映画専門家レビュー一覧
オレの獲物はビンラディン
アメリカ同時多発テロの首謀者オサマ・ビンラディンの誘拐を企てたアメリカ人の実話に基づくコメディ。「パキスタンに行って、ビンラディンを捕まえろ」という神の啓示を受けた中年男ゲイリーは、あらゆる困難を乗り越え、パキスタンに辿り着くが……。出演は「ヴェンジェンス」のニコラス・ケイジ、「ロック・オブ・エイジズ」のラッセル・ブランド。監督は「ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習」のラリー・チャールズ。
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翻訳家
篠儀直子
こんな彼は見たことがないという演技をしているN・ケイジはもちろん見ものではあるけれど、映画を全部背負わされているこのアクの強い演技をどう評価するかで作品評価は決まりそう。出国するまでの部分は、主人公が愛すべき人物だといちおうわかるし、つまらないとまでは言わないが、アメリカだけが文明だと思っているかのようだったこの男が、図らずもパキスタンの文化に夢中になっていくくだりの面白さを見ると、もっと早くこの展開に持ちこんでほしかったと思わずにはいられない。
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映画監督
内藤誠
ビンラディンをつかまえようとした「愛国者」ゲイリー・フォークナーの実話である。テレビのワイドショーで見ているぶんには面白いかもしれないけれど、雑な台本の劇映画ではニコラス・ケイジの怪演ぶりがセリフを喚きたてるばかりで、カラ回り。主人公の幻想による神、ラッセル・ブランドをひんぱんに登場させる演出も、軽すぎる。仕事仲間やお尻の上に刺青のある太った恋人のウェンディ・マクレンドン=コーヴィが、揃って人柄がよく、変人のヒローを愛しているのはおかしい。
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ライター
平田裕介
日本も海外もキー・ビジュアルは、ドン・キホーテよろしくロバに跨った主人公の画。人は悪くないものの頭は悪いキャラや言動、病に倒れて落ち着く展開も含め、その現代版ではあるが、ラリー・チャールズ監督ならではの下品で過激なギャグが無くて寂しい限り。それを補うのが、ニコラス・ケイジのはっちゃけた演技である。ブヨついた体を揺らし、日本刀を振り回し、ラリってわめき散らすだけでなく、マスをかく姿まで喜々として演じており、そんな彼を眺めているだけで満足できる。
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