ドクター・エクソシストの映画専門家レビュー一覧
ドクター・エクソシスト
「カリフォルニア・ダウン」のブラッド・ペイトンが手掛けたホラー。悪霊“マギー”に妻子を殺され、自らも車いす生活を送るようになった腕利きのエクソシスト、セス・エンバー。ある日、マギーに憑りつかれた少年と出会った彼は、戦いを決意するが……。宗教ではなく科学で悪魔祓いを行なう主人公エンバーを演じるのは、「ハドソン川の奇跡」のアーロン・エッカート。
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翻訳家
篠儀直子
悪霊からオカルト的側面や宗教的側面を取り払い、ごく合理的に「実体を持たない寄生体」と呼ぶ主人公。「インセプション」的風味を加えた以外は、われわれの現実の延長のような科学的アプローチで悪霊祓いに取り組むのが面白い。ワイルドな風貌とこざっぱりした風貌の両方のA・エッカートが楽しめるほか、特に背景が語られることのない端役である若い助手ふたりまでもが外見だけで内面的魅力を発散しているのをはじめとして、男女ともども魅力的な演者がそろい、画面を活気づける。
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映画監督
内藤誠
アーロン・エッカートがアル中で車椅子のエクソシストを力演。フリードキンの古典からは、はずれようとする意図があり、宗教的祈?師も登場しない。ドクターは悪霊に憑依された少年を、彼の潜在意識に入り込んで、いわば「科学的に」除霊しようとする。助手の男女が喜劇的でコンピューターの画面を見ながら、秒数を計り、「もう間に合わない」と叫んで、悪霊との闘いのサスペンスを盛り上げる。エクソシストものらしい瞬間的な恐怖映像もあるが、笑ってしまうところも多いホラー。
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ライター
平田裕介
十字架、聖水、聖書を使わず、憑依された者の意識下に潜り込んで悪魔を追い出す主人公。POVスタイルや法廷劇の要素を取り入れるなど、趣向を凝らした悪魔祓いホラーは多くなったと思うが、これはかなりの新鮮さを感じた。とはいえ、そのメカニズムは劇中の説明を聞いてもデタラメ感が甚だしく、主人公と悪魔の因縁の根源もいまいち説明不足。しかし、そこはノリ勝負の快作「カリフォルニア・ダウン」を放ったブラッド・ペイトン。あの勢いで突き進むので、スルッと頂けてしまう。
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