ザ・サークルの映画専門家レビュー一覧
ザ・サークル
エマ・ワトソンとトム・ハンクスの共演でSNSを題材にしたサスペンス。巨大SNS企業サークルに就職したメイは、カリスマ経営者ベイリーから、生活のすべてをネットでシェアする新サービスのモデルケースに抜擢され、膨大なフォロワーを集めるが……。「人生はローリングストーン」のジェームズ・ポンソルト監督が、原作者デイヴ・エガース(「王様のためのホログラム」)と共同で脚本を執筆し、映画化した。「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」のジョン・ボイエガ、「6才のボクが、大人になるまで。」のエラー・コルトレーンなど注目のキャストが共演。2017年2月に亡くなったビル・パクストン(「タイタニック」)の遺作となった。
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翻訳家
篠儀直子
24時間つながりっぱなし、そのうえ自分を全部さらけ出しっぱなしの状態を、断罪するでも賞賛するでもなくひたすら両義的に描き、よりよい結果を求めてもがきつづける映画。大手製作だったらありえないプロットだが、これに出演した2大スターの意気やよし。圧倒的カリスマを発揮するハンクスに、若きカリスマのエマが堂々とわたり合う。「ソウルサーチ」のデモンストレーションのシーンが心底恐ろしい。あと、ミュージシャンのベックがなぜかちょこっと出演してライヴをやってます。
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映画監督
内藤誠
SF的未来の物語というよりは、登場するシステムや技術がすでに現実のものとして存在するので、見たあと、インターネットで「シェア」をクリックするのに躊躇したほど。SNS企業を支配するトム・ハンクスも、その企業に憧れて就職したエマ・ワトソンも、いかにもいそうな人物像で無気味。超小型カメラや衛星を通じて送られてくる映像も実用化し、プライバシーも侵されている。新技術に操作されるマスコミ大衆の愚かさはともかく、疑いをもつ少数派にも救いはないのが、さらに怖い。
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ライター
平田裕介
悪徳IT企業がグヘヘヘ。みたいな話だが、その連中を生み出し、力を増大させるのはユーザーの倫理観にかかっていると訴えることに注力している。だが、語り口はなんとも軽くてあっさりしており、そうしたテーマがズシンと刺さってくるわけではない。公私の印象通りにフランクだが、腹に一物も二物もあるCEOに扮したトム・ハンクスが新鮮。ネット社会の闇を作る元凶といえなくもないスマホのなんでもない標準機能が、SNSの進むべき光ある道を示すかのような場面はベタだが燃える。
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