ザ・シークレットマンの映画専門家レビュー一覧
ザ・シークレットマン
リーアム・ニーソンがウォーターゲート事件の内部告発者“ディープ・スロート”こと元FBI副長官マーク・フェルトを演じたサスペンス。FBI長官代理グレイからウォーターゲート事件の早期解決を命じられたフェルトは、マスコミを利用しようとするが……。共演は「ボンジュール、アン」のダイアン・レイン、「ラビング 愛という名のふたり」のマートン・ソーカス。監督は「コンカッション」のピーター・ランデズマン。
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翻訳家
篠儀直子
あれこれの国で最近起こっていた(いる)こととあまりにシンクロするのでそのことばかりに気持ちが行ってしまい、映画自体を評価することが難しいのだが、主人公フェルトの家族の描き方が中途半端なのと、音楽に頼りすぎのきらいがあるのは気になるものの、生真面目すぎるくらいな作りの政治スリラー。時代的には、ちょうど「J・エドガー」の物語が終了したところから始まる。実はフェルトはクライド・トルソンの後任にあたるらしいのだけど、残念ながらこちらにトルソンは登場せず。
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映画監督
内藤誠
ウォーターゲート事件を描いて評判をよんだアラン・J・パクラ監督「大統領の陰謀」ではハル・ホルブルックがニュース源である謎の人物“ディープ・スロート”を演じていたが、その男マーク・フェルトにスポットを当て、リーアム・ニーソンがFBI関係者の苦悩を熱演。ピーター・ランデズマン監督はジャーナリズム出身だけに劇的盛り上がりより事実の詳細に力を入れ、トランプ現政権との類似を連想させる演出だ。家出した大学生の娘のヒッピーな時代感覚なども描いてほしかった。
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ライター
平田裕介
当然のごとく「大統領の陰謀」B面というか、対にして観てしまう。考えてみれば、ヒントの数々をもらってニクソンを追い詰めたワシントン・ポスト記者よりもFBI副長官でありながら“ディープ・スロート”としてそれらを与えるM・フェルトのほうが大変そうではある。だが、たいした危険が待ち受けるわけでなく、スリリングな駆け引きもなく、平坦な感じで終わってしまって拍子抜け。道義を踏み外さぬ彼の姿に熱くはなったが……。干され中のT・サイズモアの出演に少し沸き立つ。
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