ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書の映画専門家レビュー一覧
ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書
スティーヴン・スピルバーグ監督×メリル・ストリープ&トム・ハンクス初共演による社会派ドラマ。ベトナム戦争に関するアメリカ最高機密文書の存在を知った実在のジャーナリストたちをモデルに、政府の圧力に屈することなく世に出そうと奔走する姿を活写する。脚本は、本作で共同製作を務めるリズ・ハンナと「スポットライト 世紀のスクープ」のジョシュ・シンガー。撮影を「プライベート・ライアン」「ブリッジ・オブ・スパイ」のヤヌス・カミンスキー、音楽を「スター・ウォーズ」「シンドラーのリスト」のジョン・ウィリアムズが担当する。2018年3月29日、特別先行上映。
-
翻訳家
篠儀直子
意表を突く導入部からしてもう非凡なのだが、さらに、シーン相互のメリハリ、画面内の人物の配置、人物のちょっとした仕草や小道具、この内容をこの時間内で語りきること等々、すべてが天才の仕業としか思えない。アメリカ映画伝統の新聞記者映画の系譜に輝く傑作(全然「トム・ハンクス」に見えないハンクス!)であるのみならず、政治やビジネスから女が閉め出されていた時代に一介の主婦が経営者として自立する物語でもあり、彼女のさらなる戦いをほのめかすラストも洒落ている。
-
映画監督
内藤誠
トランプ大統領とジャーナリズムの対決を反映してか、「ザ・シークレットマン」に続き、またもニクソン時代を舞台にした作品。ニール・シーハンという日本でも有名なニューヨークタイムズ記者を相手に地方紙ワシントンポストの女社長メリル・ストリープの苦闘する姿が、さすがスピルバーグの演出だけに明確に浮き上がる。彼女を支えるトム・ハンクスも敏腕な編集者を熱演し、観客は「憲法修正第1条」の勉強になる。ベトナム戦争とそれに続く70年代はスピルバーグ登場の時期だった。
-
ライター
平田裕介
庭では優雅なパーティーが開かれ、窓を挟んだ部屋では神妙な会話が。そんなシーンを筆頭に、ドアや窓、空間の奥行きを活かしまくった、レイヤー感全開の画面構成と演出が炸裂しており、改めてS・スピルバーグと撮影J・カミンスキーの鉄板コンビネーションを震えながら堪能。スクープ掲載をめぐり、内線と外線を交差させて数名が繰り広げる喧々諤々かつスリリングな議論は、これまたスピルバーグとは長い名編集者M・カーンがその腕を遺憾なく発揮。テーマ的にもタイムリーすぎる一本。
1 -
3件表示/全3件