ゲティ家の身代金の映画専門家レビュー一覧
ゲティ家の身代金
破格の身代金を要求された実際の誘拐事件を「エイリアン」のリドリー・スコットが映画化。世界一の大富豪ゲティの孫ポールが誘拐され、1700万ドルの身代金を要求されるが、彼は支払いを拒む。ポールの母ゲイルは誘拐犯だけでなく、ゲティとも戦うことに。出演は、「グレイテスト・ショーマン」のミシェル・ウィリアムズ、「手紙は憶えている」のクリストファー・プラマー、「ゴーストライター」のティモシー・ハットン、「彼は秘密の女ともだち」のロマン・デュリス、「パトリオット・デイ」のマーク・ウォールバーグ。第75回ゴールデングローブ賞監督賞、主演女優賞、助演男優賞ノミネート。第90回アカデミー賞助演男優賞ノミネート。
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翻訳家
篠儀直子
「市民ケーン」が何度か映像的に参照される(そういえばケーンのモデルのひとりと言われるハーストも孫を誘拐されている)が、この哀れな老富豪がなぜこのような人間になったのかを「ケーン」みたいに説明してくれるわけではなく、偏屈爺には偏屈爺なりの道理があるはずだとこちらは思いたいのにそれも明かされることはなく、結果、M・ウィリアムズがわけのわからんものと戦い続ける映画に。わたしが何か見落としているのだと思いたいのだが。R・デュリス演じる小悪党の存在が救い。
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映画監督
内藤誠
このところ誘拐やテロを扱う犯罪事件映画では、現実のモデルがないと、物足りない感があるが、その点、ゲティ家の誘拐事件は誰しも真相を知りたいとおもう素材。孫のための身代金支払いを、断固拒否する富豪ジャン・ポール・ゲティをクリストファー・プラマーが絶妙に演じる。その役は、ケヴィン・スペイシーがハリウッド・セクハラ事件で、突如降板したものだったというのだから、話題はつきない。短期間で撮りなおした傷痕を感じさせないリドリー・スコットの演出力はたいしたもの。
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ライター
平田裕介
誘拐された息子の救出もさることながら、とんでもなく金持ちで果てしなくケチな祖父と身代金捻出をめぐって戦わなきゃいけないという“味方に敵あり”の構造がやはりアガる。そこになにかとゲティ三世の身を案じて彼を守ってしまう誘拐犯のひとりをめぐる“敵に味方あり”なエピソードも挟み込んでグッとさせるあたりも巧い。豪邸に置かれた来客用公衆電話ボックスや身代金での節税対策を筆頭に、有名なゲティのケチ逸話は画にされるとさらに面白くなるし、本気で呆れてしまう。
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