時間回廊の殺人の映画専門家レビュー一覧
時間回廊の殺人
「シュリ」のキム・ユンジン、2PMのオク・テギョン主演のスリラー。1992年、ある家で殺人事件が発生。夫と息子殺害の容疑で妻ミヒが逮捕され、息子の遺体は見つからないまま懲役30年の刑に服す。25年後、仮釈放されたミヒは事件が起きた家に戻る。監督は、「ホラー・ストーリーズ」のイム・デウン。脚本は、「プリースト 悪魔を葬る者」監督のチャン・ジェヒョン。出演は、「その日の雰囲気」のチョ・ジェユン。
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批評家。音楽レーベルHEADZ主宰
佐々木敦
観始めてすぐ軽いデジャヴのような感覚に襲われたら、以前この欄で取り上げた「プリースト 悪魔を葬る者」の監督が脚本だった。今回も神父が出てくる。過去と現在を複雑に交錯させつつ展開するストーリーは「家ものホラー」の常道に則っているようで、中盤から謎また謎で収拾がつかなくなると思いきや、ラストにはあっと驚く真相が待っている(ヒントは邦題)。ホラーだと思っていたらSFだったというね。色々と辻褄が合わないこともなくはないのだが、そこはそれ、ということで。
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映画系文筆業
奈々村久生
後半はほぼクライマックスがずっと続くようなテンションの高さ。脚本も芝居も音楽もどんどん盛られていき、事件ものからオカルト、メロドラマとジャンルが詰め込まれ、オチの力が逆に弱まってしまう。鍵を握る屋敷が舞台のセット的で、長い時間の流れやそこに蓄積された念のようなものを描くには綺麗すぎて見えるのも、物語に入り込むのを難しくしているように思う。全体的に映像というより舞台向きの作り。キーパーソンとして神父が出てくるところに、キリスト教文化が根付いている韓国社会がうかがえる。
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TVプロデューサー
山口剛
『LOST』のキム・ユンジン主演で、タイムトラベルを想像させる邦題だが、土地や古い家屋に憑依する霊魂を描いたオーソドックスなホラーだ。夫と息子を殺害した容疑で服役していたキムが25年ぶりに出所して旧家に戻る冒頭から洗練され語り口で、息子の霊が現れ一挙に恐怖が盛り上がる。良くできたホラーで、霊の撮り方が上手い。ベネズエラ映画「マザーハウス 恐怖の使者」のリメイクと知りDVDを探したが間に合わなかった。オリジナルを凌駕しているのは間違いないだろう。
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