夏、19歳の肖像の映画専門家レビュー一覧

夏、19歳の肖像

島田荘司の同名青春ミステリーを原作に「共犯」のチャン・ロンジー監督が映画化。病室の窓から見える邸宅に佇む美女に心を奪われた大学生カン・チャオ。ある夜、彼女の犯罪を目撃した彼はその真相を確かめようと動き始めるが、謎めいたメッセージが携帯に届く。出演は「レイルロード・タイガー」のファン・ズータオ、「罪の手ざわり」のリー・モン、「小さな園の大きな奇跡」スタンリー・フォン、「ラスト、コーション」のチュウ・チーイン。
  • 批評家、映像作家

    金子遊

    テレビの探偵番組で脚本を書いていたので、推理小説ばかり読んでいた時期がある。戦前なら鮎川哲也や『新青年』まわり、現代なら島田荘司や笹沢左保のトリックを参考にしていた。本作は島田荘司の原作を、台湾のチャン・ロンジー監督が中国資本で映画化した「中国映画」。ミステリーは易々と国境を越えるのだ。最初のトリックは、病院から覗き見をする青年に関わるものだが、ふたつ目の謎は現代風にアレンジされていて唸らされた。ひと夏の苦い青春ストーリーとしても楽しめる。

  • 映画評論家

    きさらぎ尚

    原作は日本の実力作家、主演は人気の美形アイドル、そしてヒッチコック・ミステリーの傑作「裏窓」を思い出させる物語の立ち上がり。なかなかの設えと滑り出しである。なんだけど、窓越しに見た女性に心を奪われた主人公のかなり強引な恋愛映画? それとも彼女を観察する中で想像した殺人事件の真相を探るミステリー? いえいえ、これらをひっくるめて主人公の夏の出来事を描く青春映画? アイドル映画なことは確かだが、絞り込んでアプローチすればドラマが更に活性化したかも。

  • 映画系文筆業

    奈々村久生

    なかなか荒唐無稽なアイディアを、主人公である青年の若さゆえの突っ走りで押し切ったような力技。なぜ今、この小説を、中国で(ロケ地はほぼ台湾)映画化したのかという謎は未解決のまま残されたが。ただ、日本では暗く湿っぽいドラマになりそうなところを爽やかな娯楽性に落とし込んでいるのは好印象。元EXOのタオはお世辞にも演技が達者とは言えないが裕福な家の子息である彼ならではの世間知らずなイノセンスはある。身体能力の高さを生かしたアクションをもっと見たかったかも。

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