アリー/スター誕生の映画専門家レビュー一覧
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翻訳家
篠儀直子
一九三七年のウェルマン監督版を振り出しに、四度目の映画化となる物語。場の空気を画面に取りこむ撮影とジャンプカット気味の編集が、「いま」の気分を醸し出す。現代ならではのヒロイン像を期待したいところだが、どうやら力が入っていたのは男性主人公の描写のほうで、それゆえ女性主人公の造形は相対的に曖昧に。レディー・ガガの存在感に埋め合わせの任が託された。主演ふたりにひとりずつ配された近親者男性の役が面白く、特にクーパーとS・エリオットの関係は深い余韻を残す。
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映画監督
内藤誠
フレディ・マーキュリーを敬愛するレディー・ガガがヒロインを演じて、「ボヘミアン・ラプソディ」に続き、キメこまかい音楽映画が公開される。ブラッドリー・クーパーとガガが出会うシーンが楽しい。酒場で『ラ・ヴィ・アン・ローズ』を歌っているガガは彼女の別の個性を見るようだった。俳優出身の監督らしく、ガガの父親のアンドリュー・クレイからマネージャーのラフィ・ガヴロンにいたるまで、配役が的確。ガガがピアノをひきながら歌い、ダンスを練習する姿も見せて、サービス満点。
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ライター
平田裕介
音楽業界が舞台ゆえ76年版と比べてしまった。なにかと展開が粗かった同版に対し、惹かれ合う過程、ロック・シンガーが酒に溺れているバックボーン、ヒロインがスターとして開花していくまでがじっくり丁寧に描かれている。いくらB・クーパー監督・脚本・製作・主演とはいえ役柄が格好良すぎるとイラついてくるが、晴れ舞台での失禁シーンを用意して一気にマイナスへとなだれ込むあたりも巧い。ニール・ヤングとの活動でも尖っていたルーカス・ネルソンに音楽を任せるセンスも◎。
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