ねことじいちゃんの映画専門家レビュー一覧

ねことじいちゃん

動物写真家の岩合光昭が、落語家・立川志の輔を主演に迎え、同名人気コミックを実写映画化。猫と老人ばかりの小さな島。飼い猫タマと暮らす70歳の大吉は、幼なじみの巌や気心知れた友人たちと共にのんびり毎日を過ごしていたが、ある日、突然倒れてしまい……。共演は「信長協奏曲(ノブナガコンツェルト)」の柴咲コウ、「きみの鳥はうたえる」の柄本佑、「ぼくのおじさん」の銀粉蝶、「菊とギロチン」の山中崇、「恋は雨上がりのように」の葉山奨之、「家路」の田中裕子、「深夜食堂」シリーズの小林薫。脚本を「家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。」の坪田文、音楽を「孤狼の血」の安川午朗が務める。
  • 映画評論家

    北川れい子

    「岩合光昭の世界ネコ歩き」は、見逃したくないテレビ番組の一つ。ネコ目線の低いカメラワークと“いいコだね”というネコへの声かけが妙に心地よく、いつまでも観ていたくなる。その岩合さんの初映画、やはりというか、人間たちの話はどうでもいいように思えて。いや、大した話があるわけではなく、ネコと暮らすじいちゃんの日常と、ご近所さんのあれこれのエピソードがスケッチ風に描かれるだけなのだが。妻が遺したレシピの再現とか、小ジャレたカフェの話もネコの邪魔、邪魔……。

  • 映画文筆系フリーライター、退役映写技師

    千浦僚

    身近な愛玩動物でも猫のほうが犬よりも目鼻口の配置が人間に近く、さらに自発的な行動をすることが認められていて、擬人化だったり人間的な感情の仮託をなしうるところが猫の魅力かなと思われるが本作もそういう猫の可能性が炸裂。老年期生活問題をも扱うがそこで浮上するのは猫の去り方だったり。と、同時に長年猫を撮ってらした方が監督をしてるせいか、そこに還元されない小さな野性動物としての猫アクションのダイナミズムもあった。猫アングル、猫パン、猫移動撮影が多数。

  • 映画評論家

    松崎健夫

    “ねこ”は自由奔放だ。そのことを視覚的に表現するように、ドローン、ドリー、手持ちといった手法を駆使。また、“ねこ”の目高や人間の目高にカメラ位置を自由に据え、猫のPOVを実践するなど、撮影手法や構図も自由なのだ。同時に本作は、“ねこ”や“食”を題材にした類いの映画のフリをした社会派作品でもある。コミュニティ機能と長閑な自然が残る離島を舞台にすることで、社会の過疎化、高齢化、医療のあり方などの現実の社会問題を物語の中へ巧妙に滑り込ませているのだ。

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