タリーと私の秘密の時間の映画専門家レビュー一覧
タリーと私の秘密の時間
シャーリーズ・セロンが約18kg増量し、疲れ切った母親を演じたドラマ。何事も完璧にこなしてきたマーロは、3人目の子供が生まれてついに限界に。人に頼れない性分だったが夜間ベビーシッターのタリーを迎え、やがて奔放な彼女と不思議な絆を深めていく。監督は「マイレージ、マイライフ」のジェイソン・ライトマン。シャーリーズ・セロンとは「ヤング≒アダルト」以来のタッグである。また、「ブレードランナー2049」のマッケジー・デイヴィスが謎めいた若きシッターを演じる。
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批評家、映像作家
金子遊
シャーリーズ・セロンは絶世の美女であるが、18キロ増量して、3人目の子どもを身ごもっている妊婦の役づくりをしたそうだ。セロンが家事と育児でボロボロになっていく過程の時間配分が長い。このタメがあってこそ、イマドキ女子の夜間ベビーシッターが現れたあとでの、生活の変化が活きてくる。本作では、表面的な層とは別の物語が底に流れていて、それがラスト近くでふっと浮上する。コメディだが、ヒロインと同じく90年代に青春を送った者としては身につまされる作品だ。
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映画評論家
きさらぎ尚
脚本と監督がこのコンビだもの、何かの技を仕掛けてくるな……。家事に育児に頑張り過ぎる女性が孤軍奮闘する日々と、自分が想像する若い時の自分の話。二つのストーリーで人生の再始動を描く技に一本取られた。娘に「何? その体」とぶよぶよボディをからかわれ、夫には「また冷凍ピザ?」。無神経な言葉を浴びながら、主題を活気づけたセロン。体重を18キロ増量する徹底ぶりは「モンスター」の13キロを抜いて自己記録更新!? 「レイジング・ブル」のデ・ニーロ以来の驚きだ。
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映画系文筆業
奈々村久生
ジェイソン・ライトマンは不思議な監督だ。これといった得意ジャンルや作風のクセというものがあまり感じられない。かといって職人タイプかというとそうでもなく、しかし何を撮っても面白い。おまけにアイヴァン・ライトマンの息子なのだ。大好きな監督だがカテゴライズがとても難しい。その才覚は脚本家ディアブロ・コディとのコンビで特に光り、本作でも映画的な演出の見どころは序盤の駐車場でのシーンから際立っているが、妊婦と母親のあるあるドラマに埋もれてしまったのが残念。
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