純平、考え直せの映画専門家レビュー一覧
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映画評論家
北川れい子
1にタイトル、2に歌舞伎町、3、4がなくて5がSNS。ホント「純平、考え直せ」というタイトル、私としては流行語大賞ふうに当分使い回したいくらい気に入っているのだ。“純平”の代わりに、どんな固有名詞を入れてもサマになるのだから。それはともかく作品の方は、かつての東映Vシネマふうで、どうも古くさい。その古くさい話に、SNSによる野次馬のメッセージが重なっていくのだが、当のチンピラ純平には届かないというのがミソで、SNSの正体見たり、ムダなやりとり!?
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映画文筆系フリーライター、退役映写技師
千浦僚
野村周平が古風な感じのチンピラを演じていてそれがなかなか似合ってる。古風といえばチンピラ青年の恋人になるヒロインの柳ゆり菜についてもそう感じるが、それらはイヤな感じではないし、要は非情なるこの平成ラストイヤーにちゃんと対面式のエモーションを持っていてそれを発動できる人間がいると絶滅種に遭遇したような気持ちになることをそうも言う、というか。SNSとやくざ、「鉄砲玉の美学」プラス「電車男」、も面白い。本当ならもっと邪悪な書き込みばかりだろうが。
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映画評論家
松崎健夫
ロケを多用することは、その時代を記録することにも繋がる。本作で描かれる〈新宿〉は、まさに“いま”を記録したものとして、のちの評者が何かを見出すに違いない。それは限られた“いま”を切り取っているからでもある。限定商品の争奪戦が行われるように、人は“限定”に弱い。その“限られた時間”を主人公と共にするヒロインを演じた、柳ゆり菜の眼力。彼女の眼差しは“強さ”を導き、作品全体の空気感をも構築させているだけでなく、終幕の儚さをも際立たせているのである。
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