デス・ウィッシュの映画専門家レビュー一覧

デス・ウィッシュ

1974年製作のアクション作「狼よさらば」を、ブルース・ウィリス主演、「ノック・ノック」のイーライ・ロスの監督によりリメイク。外科医ポールの留守中に家族が襲撃され、妻は殺され娘は昏睡状態に。一向に捜査が進展せず、ポールは自ら復讐に乗り出す。外科医と処刑人2つの顔を持つポールをブルース・ウィリスが演じるほか、「マグニフィセント・セブン」のヴィンセント・ドノフリオ、「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」のエリザベス・シューらが出演。
  • 翻訳家

    篠儀直子

    かなりいいなと思うのは、主人公の妻と娘が強盗に出くわすまでの部分と、主人公の喪失感を念入りに描写している部分。そのあたりの重さや、主人公と弟とのドラマと並べると、結末の不思議な(コミカルでさえある)軽やかさが不釣り合いに思える。ほかにも、主人公の性格と行動の乖離とか、いまいち納得行かないところは多いけど、ガンアクションつき復讐劇として気軽に楽しむには悪くない。模倣犯の登場に、原作者の精神がちらりと覗く。銃社会としての米国が体感できる映画でもある。

  • 映画監督

    内藤誠

    同じ原作をマイケル・ウィナーが監督した「狼よさらば」では主演のチャールズ・ブロンソンに男の哀愁があって適役だと思ったが、ブルース・ウィリスの方も家族を殺された復讐に燃える男を熱演。新作では、救急救命医となっていて、「正義」のために殺人を犯したあと、隠れる場所も安全。ソーシャルメディアの使い方も新しいし、上流階級の家と犯人たちのいるシカゴの掃き溜めの街との対比も絶妙。ロス監督は同時期公開の児童ものの映画化よりもダーティな世界の描写に向いている。

  • ライター

    平田裕介

    イーライ・ロスが「狼よさらば」をリメイク。どうしたって期待するわけだが、タッチは中道寄り。彼が本領を発揮していいはずの妻子が襲われるシーンはなんとも陰惨度が低く、それゆえに憤怒する主人公カージーと観ているこちらの気持ちはなんとなしに乖離してしまう。ブルース・ウィリスも序盤は復讐に戸惑う普通の男を演じているが、中盤から無双の処刑人に。オリジナル・シリーズ5本におけるカージーの異様な過激化をこの一本でやってのけるのは少し残念だが嫌いじゃない。

1 - 3件表示/全3件

今日は映画何の日?

注目記事