エリック・クラプトン 12小節の人生の映画専門家レビュー一覧

エリック・クラプトン 12小節の人生

エリック・クラプトンの波乱に満ちた壮絶な人生に迫る音楽ドキュメンタリー。G・ハリスンやJ・ヘンドリックス、B.B.キングなど豪華アーティストの貴重なアーカイブ映像や、本人のナレーションによるバンド時代を含む未発表の映像などでその軌跡を辿る。監督は、「ドライビング・MISS・デイジー」をプロデュースしたリリー・フィニー・ザナック。
  • ライター

    石村加奈

    “ギターの神様”の波瀾万丈な人生を、リリ・フィニー・ザナック監督がテンポよく構成している。ポイントとなる3つの絶望(少年時代の複雑な家庭環境、親友の妻への大失恋、息子の事故死)から、クラプトンを救ったのは、いつもギターだったというシンプルな展開からの、名曲が似合う大団円に大満足。中でもブルース・ギターの世界へと分け入ってゆく少年時代のくだりは、クラプトン本人の素直な回想コメントも含めて見応えあり。深まる季節に楽曲を聴き直したくなる、贅沢な135分。

  • 映像演出、映画評論

    荻野洋一

    浮き沈み激しいクラプトンの半生を映画にする際、著名な監督ではなく、近くに寄り添った友人のザナックに委ねたのは正解だ。憂いや制御できない感情を最大限すくい取っている。本作の出来ばえには、誰よりクラプトン自身が救われる思いだろう。フッテージと関係者証言をモンタージュするのがこの手のドキュメンタリーの常套だが、本作が興味深いのは、証言をおおむねボイスオフで使用し、顔は軒並みカットしていること。この手法に、関係者に寄せた監督の敬意がにじみ出る。

  • 脚本家

    北里宇一郎

    若きディランやジミ・ヘンがぼそっとコメントしたり、ビートルズとの演奏場面があったり、その秘蔵カットだけでも貴重。クラプトンのブルースへのこだわり、現在までのギター・プレイの変遷が、数々のヒット曲とともに綴られて。しかもそこに、クラプトンその人の波乱の人生も編み込まれていく。不倫、子どもの死、薬物中毒とマイナス面もさらけ出す。それを自身の語りを中心につないだところが効果的。申し分のない作品だけど、もうひとつ突っ込んだ本音を聞きたかったという欲も。

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